Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年2月13日 No.3442  中西会長記者会見

経団連の中西宏明会長は2月10日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

中西会長は、ワシントンDCで開催されたB7サミットについて、米中対立への対応、不公正貿易の防止策を中心に議論し、多国間の協力を通じた公正な貿易環境の整備が重要との認識で一致、WTO改革の推進にも合意したことに言及。ダボス会議で話題になったステークホルダーキャピタリズムにも議論は及び、社会に貢献する企業活動のあり方について意見交換したと紹介した。

新型コロナウイルスについては、現時点で日本経済への影響は不明であるとしたうえで、政府による万全の対策を求めた。また、官民が力を合わせて取り組む必要があり、経団連も協力していくとした。

Society 5.0に関しては、第5次科学技術基本計画で打ち出すよう提案した際、インダストリー4.0を強く意識していたことに言及した。その後、「デジタル技術は社会課題の解決のカギ」との経団連の考えに政府の賛意が得られ、Society 5.0という日本発のコンセプトは成長戦略の柱となったと説明。これは国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)に貢献するものであることから、経団連は「Society 5.0 for SDGs」と位置づけており、社会実装に向けた取り組みを進める段階まで来たと述べた。また、デジタル化という点では、産業力の強化を企図するインダストリー4.0と共通するところもあるとしたうえで、Society 5.0はグローバル規模での産業構造の転換、社会の変化にまで見据えたものだと説明した。

インターンシップの意義づけについては、「就業体験を伴わないワンデーインターンシップは、就業体験を目的とするインターンシップに該当しない」「インターンシップは、働くとはどういうことかを学ぶ授業の一環であり単位認定すべき」など経済界と大学双方でさまざまな意見があることに言及。「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」で大学側と協議し、日本の高等教育におけるインターンシップのあり方を再定義していきたいとの意向を示した。

日本の製造業の今後については、将来的に日本から製造業がなくなることはないものの、製造業のあり方は変わっていくと指摘。コモディティの生産で利益を上げるのが難しくなるなか、消費者から見て付加価値の高い製品・サービスの提供にシフトし、そこに資源を集中的に投入していくことに経営者はためらうべきではないと強調した。

【広報本部】