Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年2月13日 No.3442  社会保障をめぐる政府の動きに関する説明会 -「全世代型社会保障検討会議 中間報告」について内閣官房の伊原室長代理補から聞く

経団連は1月27日、東京・大手町の経団連会館で社会保障をめぐる政府の動きについての説明会を開催し、内閣官房の伊原和人全世代型社会保障検討室室長代理補から、「全世代型社会保障検討会議 中間報告」について説明を聞くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。

■ 基本的考え方

政府は、昨年9月に全世代型社会保障検討会議を設置し、人生100年時代を迎え、ライフスタイルが多様となるなかで、すべての世代の安心を支えていくため、社会保障全般にわたる改革を検討してきた。与党における検討も踏まえ、昨年12月には「中間報告」を取りまとめた。

中間報告では、今後の改革の視点として、「生涯現役(エイジフリー)で活躍できる社会」や「現役世代の負担上昇の抑制」などを掲げ、そのうえで、各分野の具体的方向性を示した。

■ 年金

年金制度においては、多様な就労への対応、より長く働くことへの支援、自分の選択によって高齢期の経済基盤の充実を図ることができるための環境整備を進める。まずは、国民一人ひとりが老後の生活設計を考えながら年金受給のタイミングを自分で選択できる範囲を拡大するため、年金受給開始時期の上限を現行の70歳から75歳に引き上げる。

また、老後の安心を確保するためには、働き方の形態にかかわらず充実した社会保障制度を整備する必要があることから、厚生年金(被用者保険)の適用拡大を図っていく。その際、適用拡大による新たな事業者負担が大きな影響を及ぼすことが危惧されることから、2024年にかけて適用範囲の拡大は段階的に行うとともに、中小企業・小規模事業者に対しては生産性向上への支援を図る。

■ 医療

現役世代の負担上昇を抑えながら、すべての世代が安心できる制度を構築するため、後期高齢者(75歳以上。現役並み所得者は除く)であっても一定所得以上の方は、窓口負担割合を2割とし、それ以外の方は1割とする。

また、外来機能の分化とかかりつけ医の普及を推進する観点から、紹介状なしで大病院を外来受診した場合に定額負担を求める制度を大幅に拡充する。機能分化の実効性が上がるよう、患者の負担額を増額し、増額分について公的医療保険の負担を軽減するよう改める。

上記2点については、22年度初めまでに改革を実施できるよう「最終報告」を取りまとめたうえで、今年夏までに成案を得て、速やかに必要な法制上の措置を講ずる。

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その後の質疑応答では出席者から、最終報告に向けた医療分野の具体的な検討にあたっては、改革効果が出るかたちで給付と負担を見直すべきとの意見や、地域ごとに効率的な医療提供体制を整備していくことの重要性についての指摘があった。これを受け伊原室長代理補からは、医療提供体制については、地域医療の基盤を維持していくため、地域医療構想の推進、医師偏在対策、医師・歯科医師等の働き方改革、外来機能の明確化とかかりつけ医機能の強化などに向けて対応を進めていく旨の説明があった。

【経済政策本部】