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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年2月20日 No.3443 行政サービスのデジタル化に向けた取り組みについて聞く -行政改革推進委員会企画部会

経団連は1月23日、東京・大手町の経団連会館で行政改革推進委員会企画部会(大久保秀之部会長)を開催。内閣官房IT総合戦略室の尾原淳之参事官から「行政サービスのデジタライゼーション」をテーマに説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ IT新戦略の全体像

政府は、従来のやり方をデジタルに置き換えるだけの「デジタイゼーション」ではなく、デジタル技術の活用に対する考え方を改め、デジタルを前提とした次の時代の新たな社会基盤を構築するという「デジタライゼーション」の実現に向けた取り組みを進めている。

取り組みの羅針盤は昨年6月にIT総合戦略本部が決定した「IT新戦略(世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画)」である。同戦略は「国民が安全で安心して暮らせ、豊かさを実感できる社会の実現」に向けた4つの重点取り組みを掲げ、その一つに「わが国社会全体を通じたデジタル・ガバメント」が位置づけられている。

■ デジタル手続法とデジタル・ガバメント実行計画

デジタル・ガバメントの推進に向けては、昨年5月にデジタル手続法が公布され、デジタル3原則(注)が掲げられるとともに、行政手続のデジタル化に必要な事項(国の行政手続におけるオンライン化実施の原則化、本人確認や手数料納付のオンライン実施、添付書類の省略等)が定められた。その後12月に同法を施行するとともに、同法に基づく政令においてオンライン化が不適当な手続の適用除外(精査のうえ、全体の1%未満の約200手続)や国民生活への影響が大きい日本年金機構に対するオンライン化実施原則の適用等、法律の実効性を担保する措置が講じられている。

法制度の整備に加えて、昨年12月には政府が取り組む施策を盛り込んだ「デジタル・ガバメント実行計画」も閣議決定された。具体的な施策として、

  1. (1)Society 5.0時代の本人確認手段であるマイナンバーカードの普及促進(対面・非対面双方の手続での活用、各種カードのデジタル化等)
  2. (2)法人設立や社会保険・税手続等のオンライン・ワンストップサービスの推進
  3. (3)既存のオンライン手続の利便性向上(スマートフォン専用画面の整備、申請から審査・決済・通知に至る一連のプロセスのデジタル化、手数料の減額等)
  4. (4)デジタル活用支援員などのデジタル・デバイド対策
  5. (5)政府情報システムにおける一元的なプロジェクト管理の実施

――等が挙げられる。

■ 地方公共団体のデジタル化

国の行政機関だけでなく、住民に身近な行政サービスを提供する役割を担う地方公共団体のデジタル化も重要な課題となる。政府においては、

  1. (1)自治体における行政手続のオンライン利用の促進
  2. (2)マイナポータルの電子申請受付機能の活用促進
  3. (3)自治体の業務プロセス・情報システムの標準化推進
  4. (4)子育て、介護、引越、死亡・相続等のライフイベントに関する手続のワンストップ化
  5. (5)自治体職員と開発者が対話を重ねて設計した優良システムを複数の自治体に提案する「自治体Pitch」の開催
  6. (6)官民データ活用推進計画の策定を通じたオープンデータの推進

――等に注力している。

以上のようなデジタル・ガバメント推進の取り組みを通じて、安全で安心な暮らしや豊かさを実感できる社会の実現を目指していきたい。

(注)デジタル3原則
(1) デジタルファースト=個々の手続・サービスが一貫してデジタルで完結する
(2) ワンスオンリー=一度提出した情報は、二度提出することを不要とする
(3) コネクテッド・ワンストップ=民間サービスを含め、複数の手続・サービスをワンストップで実現する

【産業政策本部】

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