Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年3月5日 No.3445  第16回日本ロシア経済合同会議をモスクワで開催 -日本ロシア経済委員会

日露官民300名近くが熱のこもった議論を展開
(写真提供:アレクサンドル・ヴォロジャニン)

経団連の日本ロシア経済委員会(朝田照男委員長)は2月18日、ロシア・モスクワでロシア産業家企業家連盟(RSPP)のアレクサンドル・ショーヒン会長と朝田委員長を共同議長とする第16回日本ロシア経済合同会議を開催した。また、同会議に先立ち、1月の内閣改造に伴い入閣したマクシム・レシェトニコフ経済発展大臣(前ペルミ州知事)と個別会談を行った。合同会議には延べ275名(日本側68名、ロシア側207名)が参加し、日露win‐winビジネスの拡大・深化に向けた課題や方策等について熱のこもった議論が展開された。

さらに、2020~21年が「日露地域交流年」にあたることを踏まえ、翌19日には、朝田委員長はじめ33名が、ロシア有数の工業地帯であるニジニ・ノヴゴロド州を訪れ、要人を表敬するとともに現地を視察した。

概要は次のとおり。

■ レシェトニコフ経済発展相との懇談(18日)

朝田委員長からレシェトニコフ経済発展大臣に対し、日露経済関係の拡大・深化という観点から、(1)現行の日露投資協定の改定(保護型→自由化型)(2)官民パートナーシップ(PPP)によるインフラ協力(3)中東やアフリカ等第三国における日露協力の推進――を提言したところ、全面的な賛同を得るとともに「信頼をベースに、投資家に優しい環境の整備を約束したい」との前向きな回答を受けた。

■ 日本ロシア経済合同会議(18日)

日本ロシア経済合同会議では、日露双方から約40名が登壇し、具体的なプレゼンテーションを踏まえ、日露ビジネスの可能性をいかに活かすべきかを模索した。

まず第1セッションでは、法規制を含むロシアのビジネス環境改善に向けた取り組みについて意見が交わされた。経団連側からは特に、特別投資契約(輸入代替を促進するため16年に導入された優遇制度)と現地生産車への廃車税還付をめぐる問題を提起し、外国投資家の予見可能性を改善するよう要望した。

第2セッションでは、天然資源に依存しないロシア経済の近代化や、Society 5.0を通じた日露協力のあり方について議論を深めた。さらに第3セッションでは、「日露地域交流年」を念頭に、ロシアの各地方の経済特区・優遇措置等の活用を通じた新たなポテンシャルを展望した。

朝田・ショーヒン両共同議長はこれら議論を基に取りまとめたメモランダムに署名、次回合同会議の東京開催に合意した。

■ ニジニ・ノヴゴロド州視察(19日)

ニジニ・ノヴゴロド州でニキーチン知事(左)とともに地元メディアの取材を受ける朝田委員長(右)

モスクワの東約400キロメートルに位置するニジニ・ノヴゴロド州は、沿ヴォルガ連邦管区(ロシア人口の2割に相当する約3000万人が居住)に属する14の連邦構成主体の一つである。同州と日本の間の19年貿易額は約8000万ドル、日系企業6社が進出し、投資総額は2700万ドルに上る。

経団連一行は、沿ヴォルガ連邦管区のイーゴリ・コマロフ大統領全権代表、ならびにニジニ・ノヴゴロド州のグレブ・ニキーチン知事と面会し、先進的経済特区やテクノパーク等について詳細な説明を受けた。両氏はまた、バイオやヘルスケア、AI、教育、都市交通等の分野における日本との協力拡大に意欲を示した。

一行はその後、ニジニ・ノヴゴロド州立大学のイノベーション開発センターを視察。心臓医療やバイオ農法、脳波自動運転など先端技術・研究開発の実態を把握した。

■ 主な成果と今後の取り組み

今次訪露では、日露経済関係のカギを握るレシェトニコフ経済発展大臣と日露投資協定の改定等突っ込んだ意見交換を行い、今後の政策対話に向けた布石となった。

また、合同会議では、資源・エネルギーやインフラからデジタル、観光に至るまで二国間貿易・投資の拡大と多様化に向けた議論を尽くし、16回目を数える合同会議の役割の重要性をあらためて認識させられた。

あわせて、ニジニ・ノヴゴロド州視察では、行政トップとの会談やテクノパーク見学等を通じて、地域間交流の緊密化に向けた具体的な協力の糸口を探ることができた。

経団連はこうした成果を踏まえ、「日露地域交流年」に引き続き全面的に協力するとともに、ロシアにおけるビジネス環境の改善を強力に働きかけていく。

【国際経済本部】