Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年3月5日 No.3445  東京オリンピック・パラリンピックとその先を見据えて -日本パラリンピック委員会の河合委員長、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の伊藤局長と懇談/オリンピック・パラリンピック等推進委員会企画部会

説明する河合氏(左)と伊藤氏(右)

経団連のオリンピック・パラリンピック等推進委員会企画部会(中原俊也部会長)は2月19日、東京・大手町の経団連会館で日本パラリンピック委員会(JPC)の河合純一委員長ならびに東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の伊藤学司企画財務局長との懇談会を開催した。早川茂副会長はじめ委員ら約100名が出席した。

幼少時から弱視で15歳の時に失明した河合氏は、1992年バルセロナ大会でパラリンピックに初出場した。当時、日本ではパラリンピックへの関心が薄く、「私に関する報道は2行ほどの新聞記事だけだった」という。以来、2012年ロンドン大会まで出場し計21個のメダルを獲得した後、日本身体障がい者水泳連盟会長などの要職に就き、日本人初の国際パラリンピック殿堂入りも果たした。

JPC委員長には今年1月に就任し、組織の方向性やミッションを再構築する役割を担っている。今夏の東京パラリンピックに向けては「すべての会場・セッションを満員にし、テレビでも多くの方に見てほしい。そのためには日本代表選手・チームの活躍が不可欠。昨年のラグビーワールドカップがあれだけ盛り上がったのも日本代表の活躍があったからだ」と述べた。また、河合氏は歴代初のアスリート出身のJPC委員長だが、「アスリートの声を無条件で受け入れるのではなく、なぜそれが正しいのかを伝え、一緒に考えたい。『心ひとつに』でよい組織が生まれる」とした。

さらに、「オリンピックが平和の祭典なら、パラリンピックは『人間が持つ可能性の祭典』だ。競技を見た人が『そんなことができるのか』と驚き自分のなかに眠っていた可能性に気づく力、コンテンツ力がある」と語った。

最後に、「ここまで広がった『パラリンピックを支える力』を今後につなげたい。自国開催の大会だから応援する、で終わりにしないでほしい。そしてレガシーは『ハード』ではなく『ハート』に残してほしい。人こそがレガシーだ」と呼びかけた。

続いて、大会組織委員会の伊藤局長から、大会成功に向けたテストイベントの実施(円滑な運営、暑さ対策の検証など)、3月26日から始まる聖火リレー、機運醸成への取り組みや子どもたちの参画、大会の持続可能性コンセプト、開催期間中のボランティア、チケットの販売スケジュール、東北復興への取り組みなどについて説明があった。

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会合の最後に、経団連などで構成する「オリンピック・パラリンピック等経済界協議会」が6月に開催する企業対抗パラスポーツ「Office de Boccia」の全国大会や、企業人ボランティア「サポートキャスト」などの活動を通じて、東京オリンピック・パラリンピックの盛り上げと成功、レガシー形成に一層取り組むことを確認した。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】