Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年3月5日 No.3445  「2020消費者志向経営トップセミナー」を開催 -ACAP、消費者庁と共催で

講演する杉山資生堂ジャパン副会長

経団連は2月17日、東京・大手町の経団連会館で、消費者関連専門家会議(ACAP)、消費者庁との共催により、「2020消費者志向経営トップセミナー」を開催した。資生堂ジャパン副会長の杉山繁和氏による基調講演および第5回ACAP消費者志向活動表彰の表彰式が行われた。また、先進的な取り組みを進める企業や消費者関連団体、消費者庁等によるパネルディスカッションでは、「消費者志向経営とエシカル消費」をテーマに、行政・事業者の取り組みや課題について活発な議論がなされた。概要は次のとおり。

■ 基調講演「お客さま起点のマーケティングによる新市場創造への挑戦」
資生堂ジャパン副会長・杉山繁和氏

資生堂ジャパンは、2017年に「消費者志向自主宣言」を公表し、お客さまの満足と信頼を高められるよう誠実に行動していくことを宣言した。また、19年には、「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」を新たな企業使命とし、社会課題の解決や人々が幸せになるサステナブルな社会を実現することにコミットした。

お客さまの声は、「資生堂お客さま窓口」や「店頭のビューティーコンサルタントが用いる専用のタブレット」等を通じて寄せられている。最近では、若年層を中心に利用が進むSNSへの対応が課題だったが、18年にLINEアプリの公式アカウントを開設し、「Webビューティーコンサルタント」と「AIチャットボット」によるお客さまとのコミュニケーションを図っている。このようにして寄せられた声は、マーケティング部門や研究部門等さまざまな部署で活かし、お客さまの生活を豊かにする商品やサービスの開発につなげている。

われわれが何より大事にすべきことは「お客さま起点」である。あらゆる場面で、お客さまを「中心」に置いたマーケティング活動をこれからも展開していきたい。

■ パネルディスカッション「消費者志向経営とエシカル消費」

パネルディスカッションでは、大東文化大学副学長の中村年春氏をコーディネーターに活発な議論が行われた。

消費者教育支援センターの柿野成美専務理事は、従業員へのさらなる消費者教育が必要であると指摘した。SDGs(持続可能な開発目標)やエシカル消費の現状と課題について森永製菓の宮井真千子常務執行役員は、自社の取り組みである「1チョコ for 1スマイル」を紹介し、社会貢献を事業のなかに組み込んで成立させていくことが大切であると強調した。また、消費者志向経営の現在の評価や課題についてACAPの村井正素理事長は、関係各機関・団体との連携をさらに強化し、取り組みや考え方を発信していくことの重要性に言及した。伊藤明子消費者庁長官は、社会が変化するなか、消費者や事業者も変わる必要があり、これからは両者の連携がより重要となるとしたうえで、今の時代の「新三方よし」の考え方で消費者志向経営の取り組みを進めていきたいと述べた。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】