1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2020年6月25日 No.3458
  5. 自由で開かれたインド太平洋の実現を目指して

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年6月25日 No.3458 自由で開かれたインド太平洋の実現を目指して -FOIP推進に関する懇談会を開催

経団連(中西宏明会長)は6月11日、「FOIP推進に関する懇談会」をオンラインで開催した。

新型コロナウイルス感染症収束の見通しが立たず、各国で輸出制限措置等が散見されるなか、経済を回復するには、ルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序を取り戻す必要がある。特に一国主義的な行動が顕著な米国が、ここにきて「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)を促進すべく有志国と連携を図っていることは注目に値する。

このため、経団連は、外交委員会(片野坂真哉委員長、大林剛郎委員長)を中心に同懇談会を設置し、第1回会合では外務省、財務省、経済産業省の幹部から説明を聞いた。

政府による説明の概要は次のとおり。

■ FOIPの意義(赤堀毅外務省総合外交政策局参事官)

新型コロナウイルス感染症により、世界秩序に対するさまざまな挑戦がより顕在化するなか、FOIPの推進は一層重要となっている。FOIPの三本柱((1)法の支配、航行の自由、自由貿易等の普及・定着(2)経済的繁栄の追求(3)平和と安定の確保)は、インド太平洋地域の国々が、特定の国に依存することなく、自律的な経済成長をするうえで必要不可欠なさまざまな手段を提供するものである。

FOIPを推進するために民間企業が活用できるツールとして、海外投融資を積極的に進めており、官民連携のもと、外務省・JICA(国際協力機構)が能動的・戦略的かつ機動的に案件形成に取り組んでいく。また、質の高いインフラを認証する仕組みとして米国が提案する「ブルー・ドット・ネットワーク」に関しては、現在、日米豪を中心に、認証基準・プロセス等、制度設計について検討が行われている。

■ 質の高いインフラの推進(細田修一財務省国際局開発政策課長)

わが国が推進してきた「質の高いインフラ」投資は、FOIP三本柱の「(2)経済的繁栄の追求」に寄与する。JBIC(国際協力銀行)は、島しょ国や東南アジア、インド太平洋において米DFC(国際開発金融公社)や豪DFAT(外務貿易省)・EFA(豪州輸出信用機関)と具体的な案件組成を行い、パプアニューギニアやインドネシアにミッションを派遣している。また、「エネルギー・インフラ金融及び市場形成の協力強化のための日米協力覚書」(2020年2月)を踏まえ、インド・太平洋におけるエネルギー・インフラ金融と市場形成等に取り組んでいく。

■ FOIPの具体化に向けた取り組み(福永哲郎経済産業省大臣官房政策統括調整官)

戦略的分野での案件形成推進に注力している。コロナ禍を経て重要性の高まっているサプライチェーンの強靱化やアジアを舞台とした新事業創造(アジアDX)に向けて支援中である。また、第三国協力案件組成に向けて期待される(1)公的金融支援強化(2)相手国への働きかけ(3)パートナー国企業の巻き込み――について、NEXI(日本貿易保険)やJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)等の支援策拡充および米国企業の関与要件が緩和されたDFC等米国政策機関との連携、相手国政府に対する有志国や官民協調しての働きかけ、ワークショップ等企業間連携の機会提供等を行い、具体的な案件組成を支援したい。

◇◇◇

経団連としては今後、FOIP推進に資する具体的なプロジェクトの形成に向けた機運を醸成すべく、関係各方面との対話を進めていく。

【国際経済本部】

「2020年6月25日 No.3458」一覧はこちら