Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年8月27日 No.3465  コロナ禍における需要喚起に向けた経産省の取り組みを聴取 -生活サービス委員会

経団連は7月14日、生活サービス委員会(高原豪久委員長、澤田道隆委員長、赤松憲委員長)をオンラインで開催し、経済産業省の津脇慈子商務・サービスグループキャッシュレス推進室長から、キャッシュレス・ポイント還元事業および新型コロナウイルス感染症の拡大により落ち込んだ消費の回復を図るための政府による需要喚起に向けた取り組みについて説明を聴くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。

わが国は、治安の良さや偽札の少なさなどを背景に現金志向が強く、この5年間で約10%の上昇があるものの、キャッシュレス決済比率は2019年度で26.8%にとどまっている。政府は、消費者の利便性の向上、店舗の効率化や売上拡大、データの利活用を通じた新たなサービス展開が可能になることから、キャッシュレス決済比率の向上を図り、25年までに40%にする目標を掲げている。

具体的な推進策として「キャッシュレス・ポイント還元事業」を19年10月1日から20年6月30日までの間で実施した。同事業は、その目的であるキャッシュレス推進による消費者の利便性や店舗の効率化・売上拡大だけでなく、消費税率引き上げ後の消費喚起や中小店舗の支援も掲げ、精力的に広報や支援活動も行った。これにより、加盟店登録数は最終的に約115万店となり、当初政府が想定していた50万店を大きく超えた。都道府県別の人口当たりの加盟店登録数は、東京が最も多く、次いで、石川、京都、沖縄となり、観光地を有する地方を中心に一定の成果がみられた。

同事業の検証は今後さらに行っていくが、キャッシュレス決済導入が進まない店舗における課題も明らかになった。主なものとしては、(1)加盟店手数料が高い(2)入金サイクルが長く資金繰りに困る(3)端末導入費が高い――などが挙げられる。

こうした状況を踏まえ政府は今後、キャッシュレス決済のさらなる推進に向けた検討会を立ち上げ、手数料・入金サイクル等の開示を充実させるガイドラインを策定するとともに、20年9月からマイナンバーカードの普及やキャッシュレス決済向上等を目的に実施されるマイナポイント事業の実施にあわせて、端末代金を支援する対応等を進めていく。

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生活サービス委員会は、ポストコロナの未来社会に求められる生活サービスのあり方を考え、新たな価値の創造に取り組んでいくとともに、安全・安心の確保に留意し、社会全体の活気につながる消費喚起に向けた活動を実施していく。

【産業政策本部】