Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年8月27日 No.3465  withコロナの時代における新しい学びの様式について聴く -教育・大学改革推進委員会

経団連は7月10日、教育・大学改革推進委員会(渡邉光一郎委員長、小路明善委員長)をオンラインで開催し、埼玉県戸田市教育委員会の戸ヶ﨑勤教育長から、「『学びの保障』について~withコロナの時代における新しい学びの様式」をテーマに説明を聴き意見交換を行うとともに、「Society 5.0に向けて求められる初等中等教育改革 第一次提言(案)」について審議し、了承した。戸ヶ﨑教育長の説明概要は次のとおり。

■ withコロナの時代における「学びの保障」への取り組み

新型コロナウイルスの感染拡大により、戸田市内の全小中学校が臨時休業した直後から、戸田市教育委員会ではオンライン学習の実施に向けた検討を開始した。3~4月にかけて教員研修や全児童生徒へのアカウント配付を行い、改正著作権法の施行に合わせて、4月28日から、市内各校でオンライン学習を開始した。その後、オンデマンド型の動画配信から双方向型のリアルタイム授業までが、各校の判断で行われるようになった。

学校再開後に求められたのは、再び臨時休業となっても子どもの学びの連続性を保障する「新しい学びの様式」の確立である。現在、対面形式の授業とオンライン学習との組み合わせによる「ハイブリッド学習」が各校で行われている。

オンライン学習にも、(1)一方的な動画配信は「学びの保障」ではなく「機会の保障」にとどまる危険性があること(2)学習者の緊張感やモチベーションの維持が難しいこと(3)学習者のサポートをタイムリーに行えないこと――などの課題がある。このため、教師は、児童生徒の日々の学習状況を丁寧に把握し、あらゆる手段で誰一人取り残すことなく、最大限に学びを保障するという観点に立って支援する必要がある。一方、学習者にもICTリテラシーや自学自習を支える基礎的スキル、自律的に学ぶための自己調整力などの修得が求められる。

■ これからの教育のあり方

今後は、オンライン学習と対面での学びを適時適切に組み合わせて行う「ハイブリッド学習」が新しい学びの様式のスタンダードになると考えている。これを推進するためには、学習効果を最大化できるようにカリキュラム・マネジメントを進め、核となる内容の学習は対面で行う一方、周辺的内容は家庭学習やオンライン学習で補うよう整理すべきである。教師は、オンライン・カリキュラムやオンライン学習における単元指導案を作成し、授業や教材の質的向上に取り組む必要がある。

【SDGs本部】