Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年10月8日 No.3470  和泉内閣総理大臣補佐官からインフラ海外展開に関する政府の直近の取り組みについて聴く -開発協力推進委員会

和泉補佐官

経団連は9月14日、東京・大手町の経団連会館で開発協力推進委員会(安永竜夫委員長、遠藤信博委員長)を開催し、和泉洋人内閣総理大臣補佐官から、インフラ海外展開に関する政府の直近の取り組みについて説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ インフラシステム輸出戦略を毎年改訂し着実な成果を達成

政府は2013年3月に「経協インフラ戦略会議」(議長=内閣官房長官)を設置し、「インフラシステム輸出戦略」を決定した。以来、フォローアップを行いながら同戦略を毎年見直し、今年7月に7度目の改訂を実施した。これまでに計47回開催した同会議では、都市開発(スマートシティ)やPPP(官民パートナーシップ)・現地パートナー、トップセールス等の重要課題に関して検討を重ねてきている。こうした取り組みの結果、インフラ受注額は18年に25兆円に達し、「2020年に約30兆円」の成果目標に向けて増加基調を維持している。

■ 「インフラ海外展開に関する新戦略」の方向性

政府は、民間委員の参画も得て、国際競争の激化や国連によるSDGs(持続可能な開発目標)の提唱、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大等に伴う新たなインフラニーズへ対応するため、21年以降の5年間の方向性を示す新戦略について議論しており、今年7月にその骨子を決定した。

新戦略骨子では、(1)産業競争力向上による経済成長の実現(2)展開国の社会課題解決・SDGs達成への貢献(3)自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の実現など外交課題への対応――の3つの柱を掲げ、25年に到達すべき成果目標(KPI)についても検討している。また、エネルギーや交通、医療等の従来の対象分野に加え、都市OSやMaaS等のインフラシステムの中核要素となり得る領域も幅広く支援対象とする方針である。

主な具体的施策としては、円借款による新型コロナウイルス感染症への緊急対応やデジタル変革への対応(JICA・経団連「Society 5.0 for SDGs 国際展開のためのデジタル共創」の活用等)、質の高いインフラの推進と社会課題解決への貢献、「自由で開かれたインド太平洋」等外交課題への対応、CORE JAPAN(わが国がプロジェクトの主導権を確保しつつ、海外企業・現地企業とのグローバルビジネスパートナーシップを前提にした案件形成)の推進、優位性または将来性のある領域・モデルに関する取り組みの強化等を掲げている。

今後、同骨子をもとに議論を継続し、政府として年末に新戦略の最終取りまとめを行う予定である。官民一体となり、引き続きインフラ海外展開に取り組んでいきたい。

【国際協力本部】