Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年10月15日 No.3471  「株主総会におけるオンラインの更なる活用についての提言」を公表

経団連は10月13日、新型コロナウイルス感染症に対応しつつ株主との建設的な対話やデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進する観点から、来年の定時株主総会への対応を中心に、「株主総会におけるオンラインの更なる活用についての提言」を公表した。

1. ハイブリッド型バーチャル株主総会の活用等について

2020年2月公表の経済産業省「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」では、株主総会のライブ配信を行うハイブリッド参加型バーチャル株主総会や、リアルの会場を設けつつ株主のオンライン出席を認めるハイブリッド出席型バーチャル株主総会に関する留意点等が示されたが、さらなる明確化の観点から、次の事項が早期に政府のガイドなどで明らかにされるべきである。

(1)ハイブリッド参加型・出席型共通の事項
  1. 映像なしの音声通信のみによる開催が認められること
  2. オンラインでの株主の参加枠(人数)を合理的な範囲に制限できること
  3. 役員が説明義務を果たせる態様である限り、あるいは議長が議事進行等を支障なく行える仕組みが整備されている限り、役員や議長のオンライン出席も認められること
  4. コロナ対策に関する会社と個人株主等との間の各種連絡(例えば、入場の事前登録行為など)について、インターネットの手段によることが認められること
  5. 会社はオンラインの株主に対し、総会の録音・録画・転載を禁止できること
(2)ハイブリッド出席型特有の事項
  1. 仮に通信障害が発生した場合でも、企業としての合理的判断を経て採用された信頼性の高いシステムであれば、十分であること
  2. 第三者によるなりすましの危険性についても、会社側が本人確認の合理的な方策をとっていれば、十分であること
  3. ハイブリッド出席型の導入によりオンライン出席に移行する株主の割合から合理的に導かれるリアル出席株主数が収容可能な会場を用意していれば、十分であること
  4. オンライン出席株主から質問フォームにて投稿された質問事項も含め、その取り上げ方(質問者の指名)は、恣意的な運用とならない範囲で議長の合理的議事進行に委ねられること

2. 株主総会資料のWeb開示によるみなし提供の拡充の恒久化について

今年の定時株主総会での時限的措置として認められた、株主総会資料としての単体計算書類などのWeb開示によるみなし提供制度を恒久化すべきである。

3. バーチャルオンリー型株主総会の解禁について

現行会社法では、株主総会の招集にあたり「場所」の定めが求められるため(会社法298条1項1号)、完全オンラインのバーチャルオンリー型株主総会の開催は難しいとされているが、感染予防、DX促進、コスト・労力の削減など、その有用性、許容性は認められる。

そこで、21年6月の株主総会に向け、まずは特例法等による措置を検討することが考えられる。

また、会社法改正によるさらなる手当てを行う場合には、株主総会のあり方(例えば、決議事項の見直し、株主提案権の要件、説明義務や動議権のあり方など)に関してもあわせて再度検討を行う必要がある。

そのうえで、仮に実現する際には、(1)株主総会への出席と事前の議決権行使の効力の関係(2)質問・動議の取り扱い(3)通信障害があった場合の効果――について対処することで円滑な実施がなされることが必要である。

【経済基盤本部】