Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年10月15日 No.3471  SDGs達成に向けたDX -国連「SDGビジネスフォーラム」において分科会を主催

9月23日、国連総会にあわせて、国連経済社会局、国連グローバル・コンパクト、国際商業会議所は、「コロナ禍からの回復とSDGs達成へのリーダーシップ」を全体テーマに「SDGビジネスフォーラム」をオンラインで開催した。同フォーラムにおいて経団連は、「SDGs達成に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)」をテーマとする分科会を主催した。

開会にあたって、モデレーターを務めたハーバード大学ケネディ・スクール企業責任イニシアティブ・ディレクターのジェーン・ネルソン博士は、「コロナ禍からの『よりよい復興』のカギはDXにある。経団連が提唱するSociety 5.0は、DXとビジネスモデルのイノベーション、パートナーシップ、サステナブル投資を結びつける新たな実践の枠組みである。SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けて、DXの規模をいかに拡大し加速するか、デジタル格差をいかに埋めるかについて事例を基に考える機会としたい」と分科会への期待を述べた。

経団連が主催する分科会では、まず日比野隆司審議員会副議長がESG投資とSociety 5.0に関する経団連の取り組みを説明。「DXを通じてグローバルな課題を解決しつつ経済成長を遂げるには、ESG投資(環境・社会・ガバナンス対応を踏まえた投資)を進化させ、Society 5.0の実現に向けた課題解決イノベーションへと投資が向かう必要がある。そこで経団連では、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)、東京大学と共同研究を行い、Society 5.0の実現による250兆円の経済効果の試算など、ESG投資とSociety 5.0とを結びつけるための具体的な方策を提示した。また経団連・GPIF、東京大学と締結したアクションプランを踏まえて、大和証券グループでは、Society 5.0関連株ファンドを開発・提供するなど、ESG投資の進化を実践している」と述べた。

続いて、中山讓治企業行動・SDGs委員長が、第一三共におけるDXの事例を紹介。「ゲノム医療への取り組みを加速し、医療情報を電子化・連結して創薬や医薬品の承認申請に利活用できる環境整備を進める必要がある。そうすれば、多様な疾患の医薬品の研究開発が加速し、新型コロナウイルス感染症のような非常事態における課題解決にも資する」と説明した。

その後、UNICEFイノベーションオフィスのスニタ・グロテ氏が、(1)ベンチャーファンドによる投資を通じた、コロナ危機でもアクセス可能な学習、健康、職業訓練、金融などの公共サービスに関するデジタル・ソリューションの創出支援(2)リアルタイムで情報を収集・集計・分析して感染症の拡大やコミュニティーへの影響を予測するデータサイエンス・プラットフォーム――について紹介。さらに、これらのデジタル公共サービスを最も必要とする人々に届けるには、手ごろな価格の通信接続に誰もがアクセスできるようにすることが不可欠であると強調した。

最後に、ブラックロックのインベストメントスチュワードシップ・グローバルヘッドのミシェル・エドキンス氏が、「ブラックロックは、受託者として顧客の長期的な利益の最大化のため、サステナビリティーを重視している。投資先企業の価値創造には、健全なコーポレート・ガバナンスと持続可能な事業の推進が必要であり、企業には経済や環境だけでなく、コロナやDXの社会への影響をどう長期戦略に落とし込んでいるかについても情報開示強化を求めていく」と述べた。

※ 同分科会の模様は国連グローバル・コンパクトのサイトを参照
https://www.youtube.com/watch?v=tKldoHUKP78&list=PL315PYhQ4901qjk9H3ugF1egeqj6PaZ3h&index=8

【SDGs本部】