Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年10月22日 No.3472  シントン駐日タイ大使からタイの新型コロナ対応と日本企業への期待等について聴く -日タイ貿易経済委員会

シントン大使(中央)と鈴木委員長(右)、大八木委員長(左)

経団連(中西宏明会長)は10月6日、日タイ貿易経済委員会(鈴木善久委員長、大八木成男委員長)を開催し、シントン・ラーピセートパン駐日タイ大使から、タイの新型コロナウイルス対応、日タイ経済関係の展望などについて説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 日本はタイ経済に大きな役割を果たす

タイ進出日系企業は、6000社超である。2019年の日本からタイへの投資総額は731億バーツ(約2400億円)に上り、20年は再生可能エネルギー分野が注目を集めている。観光分野も重要である。19年のタイから日本への観光客は年間130万人、日本からタイへは同180万人と往来は活発である。両国の人口比は1対2であり、さらに多くの日本人のタイ訪問を期待する。

■ 財政措置で新型コロナの経済への影響を最小化、投資誘致も促進

タイでは緊急事態宣言の発出等が奏功し、新型コロナウイルス感染症の拡大を抑制している。

政府は経済への影響を最小化すべく累次の経済対策を打ち、3月に第1弾の200億バーツ規模の基金措置と第2弾の被雇用者・非正規雇用者、事業者への救済措置を発動した。4月の第3弾では財務省が1兆バーツ規模の借り入れを実行可能にする法律や中小企業支援法・社債市場流動性安定化支援法などを整備した。

コロナ禍での投資誘致を図るため、BOI(Board of Investment、タイ国投資委員会)は、各種の奨励策を実施している。例えば、減税期間の延長や医療産業の法人税半減(3年間)などにより、事業者への影響緩和に取り組んでいる。また、5Gなどのデジタル、eコマースなどのロジスティクス、ウェルネス産業、都市・住宅・地域産業開発を重要産業として掲げるとともに、各種恩典によりEEC(東部経済回廊)での投資を促進している。日本企業にもぜひ参画してほしい。

■ コロナ後を見据えた日タイ連携の可能性

今後の日タイ連携では、「タイランド4.0」(経済社会をデジタル化し、付加価値創造社会へ移行するビジョン)が重要になる。ここでは、バイオ燃料やバイオケミカル、航空や物流、農業、スマート電機、未来のための食品等、個別産業の成長に加え、循環型経済の実現も追求する。医療分野では、医療機器・サービスを世界最先端水準に引き上げ、医療関係者の受け入れを増やして、タイのメディカルハブ化に注力している。タイも日本同様、少子高齢化が進む。この分野で先進的な取り組みを行う日本との連携を密にしていきたい。

【国際協力本部】