1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2021年12月2日 No.3524
  5. ブラジルとの今後の産業協力と日本メルコスールEPAの推進を確認

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年12月2日 No.3524 ブラジルとの今後の産業協力と日本メルコスールEPAの推進を確認 -日本ブラジル経済合同委員会を開催

経団連の日本ブラジル経済委員会(安永竜夫委員長)は11月9、10の両日、ブラジル全国工業連盟(CNI)と日本ブラジル経済合同委員会をオンラインで開催した。安永委員長、エデュアルド・バルトロメオCNIブラジル日本経済委員長をはじめ日伯双方から約210名が出席した。

冒頭、安永委員長は、新型コロナウイルスの収束に合わせた社会経済活動の再開と活性化、サステナビリティの確立に向けた日伯産業協力の強化に期待を示した。バルトロメオ委員長は、両国の新たな協力分野として、脱炭素への取り組みを強調した。概要は次のとおり。

■ ブラジルの構造改革と経済成長への期待

ブラジルでは、ここ20年にわたる構造改革が経済成長に大きく寄与している。ブラジル側は、今後も税制、行財政等の構造改革を政府に求めるとともに、産業競争力を高めていくとの決意を表明した。日本側は、ブラジルの新たな投資機会として、イノベーションを通じた社会変革、脱炭素等のESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組み等に期待を寄せた。

■ 環境をはじめとする多様な日伯産業協力の展望

世界的に関心の高まる地球環境問題に関して、両国参加企業が、自動車におけるバイオ燃料の使用最大化、安定電力としてのガス火力の活用、農業・食料生産におけるバイオ資源循環の確立、環境配慮型の農業等の事例を紹介した。ブラジルは電力源の85%を水力等の再生可能エネルギーが占める環境先進国であり、日本の先進技術を活用することで、地球規模のカーボンニュートラルに貢献できるとの意見が数多く示された。

デジタル分野では、2022年にブラジルで5Gが本格導入されることを見据え、AIやIoTを活用した価値創造や国際データ通信を支える海底ケーブルプロジェクトへの期待が示された。

■ 日本メルコスールEPAの早期実現に向けて

このような日伯産業協力を拡大、深化させるための制度的な基盤として、日本メルコスール(注)経済連携協定(EPA)の早期実現に向けた議論も行った。ブラジル側は、両国間の貿易額がこの10年間で半減していることに懸念を表明。加えて、メルコスールとのEPA交渉においてEU、韓国等が先行するなか、日本との交渉を早期に開始したいとの考えを示した。日本側からも、ブラジルから供給を受ける鉄鉱石等の資源、トウモロコシや大豆等の飼料等は、わが国の社会経済活動に必要不可欠であり、経済安全保障の観点からEPAの早期実現を求める声が上がった。

最後に、これらの議論を取りまとめるかたちで、質の高い包括的な日本メルコスールEPAの締結のための共同研究会設置を要望するとともに、両国政府に対して早期の交渉開始に向け、政治的リーダーシップを求める共同声明を採択した。

経団連は、引き続き日本メルコスールEPAの早期交渉開始を政府に働きかけるとともに、日伯産業協力の推進に取り組んでいく。

(注)メルコスール=ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイによる関税同盟

【国際協力本部】

「2021年12月2日 No.3524」一覧はこちら