Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年1月13日 No.3528  スヴィリデンコ・ウクライナ第一副首相兼経済相と懇談 -ウクライナのビジネス環境と投資機会について聴く

國分委員長スヴィリデンコ第一副首相

経団連の日本NIS経済委員会ウクライナ部会(國分文也委員長・部会長)は12月9日、ウクライナのユリア・スヴィリデンコ第一副首相兼経済大臣との懇談会をオンラインで開催した。日本企業関係者が約40名参加したほか、ウクライナ政府からは、スヴィリデンコ第一副首相に加え、経済省、財務省、省エネルギー庁、インフラストラクチャー省、農業政策・食糧省の閣僚・幹部クラス等約20名が参加した。スヴィリデンコ第一副首相による講演に続き、各省庁幹部から、ウクライナにおける「関税・税関」「グリーンエネルギー」「インフラ」「農業」に関する政策やビジネス機会について聴くとともに意見交換した。スヴィリデンコ第一副首相による「ウクライナの経済改革」についての講演概要は次のとおり。

■ ウクライナ経済の現状

2020年はパンデミックの影響により世界的に経済活動が停滞し、ウクライナもその影響を受けたが、足元では回復基調にある。ウクライナ政府はパンデミックの影響を受けた産業に対する支援を行った。21年1月から10月にかけての各指標は、工業生産が前年同期比1.4%増、農業生産は同13.0%増、小売売上高は同11.5%増となった。対外貿易についても輸出、輸入ともに前年比で増加している。21年第3四半期のウクライナの実質GDP成長率は前年同期比2.4%増であった。

■ ウクライナの経済発展戦略

ウクライナは国家戦略として、EU、NATO(北大西洋条約機構)への加盟を目指している。今後の経済発展のための施策として、前時代的な法令の改正・廃止、規制緩和を行っており、法令の改正は6500件、廃止は1200件に上る。このなかには投資環境改善を目的とした投資家保護に関する改正も含まれる。また、中小企業支援のための貸付プログラム導入やコーポレートガバナンスの改革に取り組んでいるほか、知的財産保護について、EU基準に基づいて特許、商標に関する法整備を行った。

■ 日ウクライナビジネスにおける課題

ウクライナにおけるビジネス環境について、日本経済界から租税条約の早期締結と不法貿易への対策強化等について意見があることを承知した。租税条約については日ウクライナ政府間での協議が進められている。できるだけ早くこの課題が解決されるよう協力したい。

不法貿易は重大な問題であり、現在、ウクライナの内務省と財務省が中心となって解決に向けて取り組んでいる。経済省としても追加的にできることがあればサポートしたい。

ウクライナにとって日本との経済関係の発展は優先課題であり、将来性がある。ウクライナ政府を代表して、両国の関係深化に取り組みたい。

【国際経済本部】