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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年3月17日 No.3537 経団連企業人政治フォーラムが講演会を開催 -佐橋東京大学東洋文化研究所准教授が講演

佐橋氏

大塚会長

経団連企業人政治フォーラム(大塚陸毅会長)は2月22日、オンラインで講演会を開催した。佐橋亮東京大学東洋文化研究所准教授が、「バイデン政権と米中対立~これまでの評価と展望」と題して講演した。概要は次のとおり。

■ ウクライナ問題への姿勢からみる国際社会

国際情勢を考えるうえで、現在、非常に緊迫しているウクライナ問題への対応姿勢が大きなポイントの一つとなる。

米国バイデン外交は、対露、対中に関して国際秩序擁護の姿勢では一貫している。しかし、2021年3月に策定された国家安全保障戦略において、自国にとって脅威となる国として、中国を「国際秩序に挑戦する唯一の競争相手」と明示するなど、中国をより強く意識する姿勢をみせてきた。政権内では、中国に専念すべきとの立場から、米国がウクライナ問題に積極関与すべきではないとの主張が高まっている。一方で、ウクライナ問題が国際秩序に与える影響の大きさから、中露両者への対応を図るべきとの立場も強まっている。ロシアの動きに対応せざるを得ないところも大きいが、バイデン政権としては内向きな国内社会の反応を考慮しながら動くだろう。

■ バイデン政権における外交姿勢(トランプ前政権との対比)

バイデン政権がトランプ前政権と異なる点として、主に次の2点が挙げられる。

一つは、国際社会における「『アメリカ中心性』への固執」、すなわち米国中心に組み上げられていく多国間協力体制の構築を重視する点である。具体的には、同盟国関係を補完する新たな協力体制として、QUAD(日米豪印戦略対話)を重視し、AUKUS(米英豪によるインド太平洋の安全保障枠組み)を発足させるなど、新興技術に関するルール形成や機微技術協力をアジェンダに、米国にとって有利な国際環境の形成を進めている。

もう一つは、「『競争と安定』のバランス」である。米中首脳会議の開催をはじめ、米国は、中国・習近平体制との対話を継続し、関係破綻を避ける「ガードレール」づくりを意識した外交を展開している。

■ 22年の国際社会の展望

22年の国際社会は、コロナ禍によりもたらされた経済社会に対するダメージについて、その回復の糸口をつかめるかが問われる。また、韓国・フランスでの大統領選挙、中国での共産党大会の開催、米国連邦議会の中間選挙など、「政治の季節」が訪れることに留意が必要である。

不確実性が高まる国際情勢のなかで、日本は、経済安全保障推進法案、国家安全保障戦略・防衛大綱・中期防衛力整備計画の改定と、本格的に「安全保障を議論する1年」になるとみられる。

米中対立については、対話の模索は続くと予想されるものの、米国は安全保障や人権、台湾問題等を理由に果敢な姿勢を取ると考えられる。一方、今後は中国による報復的な「エコノミック・ステイトクラフト(国家が軍事的手段でなく経済的手段によって他国に対して影響力を行使すること)」が稼働し、経済面の摩擦が強まる可能性がある。日本企業としては、こうした米中の政策の応酬の状況について、全方位から情報を収集し、流動性の高い経営環境に対応できるように備えることが重要である。

【総務本部】

経団連企業人政治フォーラム(Keidanren Political Forum)のご案内

大臣や主要な政治家、有識者を招いた講演会の開催などを通じ、企業人の政治参加意識の高揚と、企業人と政治とのコミュニケーションの促進に務めています。
企業人の声で政治を変えるために、皆さまのご参加をお待ちしております。

◆ 入会のご案内は、ウェブサイトをご参照ください
URL: https://www.bpf.jp/

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