Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年3月17日 No.3537  「2022消費者志向経営トップセミナー」を開催

経団連は2月18日、東京・大手町の経団連会館で、消費者関連専門家会議(ACAP)、消費者庁との共催により、「2022消費者志向経営トップセミナー」を開催した。消費者政策を所掌する若宮健嗣内閣府特命担当大臣の冒頭あいさつに続き、ハウス食品の佐久間淳常務取締役による基調講演、第7回ACAP消費者志向活動表彰の表彰式が行われた。また、先進的な取り組みを進める企業や消費者関連団体、消費者庁等によるパネルディスカッションでは、「事業者と消費者の共創~アフターコロナに向けて」をテーマに、行政・事業者の取り組みや課題について活発に議論した。概要は次のとおり。

■ 若宮大臣あいさつ

若宮大臣

新型コロナウイルス下で消費者を取り巻く環境が急速かつ大きく変化するなか、“よい消費”を通じて社会課題解決に貢献する消費者の意識が高まっている。事業者が消費者と共創、協働して社会価値向上を目指す「消費者志向経営」を推進することが、SDGsの達成や政府が掲げる新しい資本主義の実現にもつながっていく。この取り組みの輪が拡大することを期待している。

■ 基調講演「ハウス食品 消費者志向経営の取り組み」佐久間氏

佐久間氏

ハウス食品では「食を通じて、家庭の幸せに役立つ」という企業理念のもと、お客さまを起点とした商品開発、提供に努めている。

お客さまの声を基に改善を進める仕組みとして、「お客さまに学ぶ」部門横断の品質改善チーム(Quality Up by Initiative of Customers、QUIC)を設けている。お客さまの声と各部門の問題意識もあわせて検討して設定したテーマを担当部門へ提案する。さらに、改善効果のレビューも行い、その内容を経営にも共有している。

商品開発の例としては、「食物アレルギーのお子さまとご家族に、家族みんなで同じメニューを食べる幸せを感じていただきたい」とのことで取り組んだ特定原材料7品目(小麦、乳、卵、そば、落花生、エビ、カニ)不使用のシリーズがある。企画段階や開発の途中でもお客さまの声を徹底的に聴いて、できる限りその声を反映した商品に仕上げて発売したところ、「家族一同の念願」「久しぶりに食べることができて感動した」など、感謝の声を多くいただいた。

また、お客さま自身もはっきりと認識されていないお困りごとに応える商品の提供に取り組んでいる。「『バーモントカレー』味のおかず用調味料」の開発では、有職主婦の夕食の悩みを理解するために、インタビューや対話、社員による生活パターンの実体験などを行った。そこからわかったのは、「日々忙しく家にある食材をやりくりして作った炒め物や汁物などのおかずを子どもが食べてくれない」という悩みを、主婦の方々が抱えていることだった。発売後、「子どもが大好きな味」「安心して使える」などのお褒めの声をいただいた。

今後も、お客さまに学び徹底して理解する、社員の想いやアイデアを組織が育み実現する、という当社のスタイルを磨き、お客さまの幸せに役立ちたい。

<パネルディスカッション>

続いて、日本放送協会の今井純子解説委員をコーディネーターに、「事業者と消費者の共創~アフターコロナに向けて」をテーマとするパネルディスカッションを行った。

日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS)の大石美奈子代表理事・副会長は、消費者も、購買を通じて、社会課題解決に取り組む事業者を応援したいと考えていると説明した。ファンケルの山口友近専務執行役員は、消費者志向経営や情報提供のあり方について、環境や人権に配慮した容器包装や原材料を利用する取り組みを紹介。「エシカル消費」の高まりに応え、スピーディーに商品等を提供することがブランド価値向上にもつながると指摘した。ACAPの村井正素理事長は、多様なチャネルを通じて、消費者に「伝わる」情報提供が重要と述べた。消費者庁の片岡進審議官は、消費者と事業者の協働のあり方を社会に発信し、実践することが重要と指摘した。議論を受けて今井氏は、事業者が商品・サービスの提供を通じてSDGsの達成へとつなげていくには、消費者の納得感がカギであると締めくくった。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】