Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年4月7日 No.3540  OECD・BIACの活動に関する懇談会を開催 -西村ERIA事務総長との意見交換

西村氏

経団連は、OECD(経済協力開発機構)の公的諮問機関であるBIAC(Business at OECD)への参画を通じ、OECDの活動に積極的に関与してきた。2021年に創立60周年を迎えたOECDでは、6月に就任したマティアス・コーマン事務総長がアジア太平洋地域でのOECDの活動強化を優先課題に掲げている。

こうした折、経団連は3月8日、OECD・BIACの活動に関する懇談会(座長=稲垣精二OECD諮問委員長)をオンラインで開催した。BIAC日本代表委員からの活動状況に関する報告に先立ち、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)の西村英俊事務総長から、ERIAの活動やOECDとの連携について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

ERIAは、東アジア経済統合推進のため、政策研究・提言を行う国際機関(「東アジア版OECD」)として、日本主導のもと08年6月に設立された。「経済統合の深化」「発展格差の縮小」「持続可能な経済成長」を柱に、東アジアの研究機関ネットワークと連携しながら、幅広い分野で実践的な政策研究・提言を行い、その成果の普及を進めている。12年には、東アジアおよびASEANの首脳に対する「シェルパ」として位置付けられるなど、地域の一員として政策の実現を支援してきた。

インフラの整備を通じて東アジアの生産ネットワークの強化を目指す「アジア総合開発計画」(CADP)はその代表的な成果の一つである。ASEAN事務局やアジア開発銀行とともに計画を策定するなかで、経団連とも意見交換を重ねてきた。現在、CADP3.0に向けて、(1)インテグレーション(2)イノベーション(3)インクルーシブ(4)サステナビリティ――の4つを柱に、デジタル化の進展や新型コロナウイルスの経験を踏まえて多面的に議論していく。例えば、対面コミュニケーションコストの劇的な低下に伴い、個々人のタスクのアンバンドル化(分割)が進んでいる。この現状をいかに組み込むかが重要である。

OECDとは14年に協力の覚書を締結して以降、中小企業、環境政策、金融などさまざまな分野で共同プロジェクトに取り組んできた。ASEAN首脳会議の関連会合である、ASEANビジネス・投資サミット(ABIS)では、OECDとERIAが共同でセッションを行っている。現在は、G20サミットに注目している。特に、22年と23年はインドネシアとインドがそれぞれ議長を務めるため、先進国とは異なる方向性を打ち出す良い機会であると考えている。OECDがアジアと協力を深めていくなかで、ERIAを積極的に活用してほしい。

【国際経済本部】