Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年4月21日 No.3542  「サステナブル購買行動調査」からみる消費者の意識や行動 -消費者政策委員会企画部会

亀田氏

楯部会長

経団連は3月30日、消費者政策委員会企画部会(楯美和子部会長)をオンラインで開催した。博報堂ビジネス開発局兼博報堂SDGsプロジェクトの亀田知代子氏から、サステナブル購買行動調査からみる消費者の意識や行動について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

博報堂では、SDGsの達成に向けて、企業のビジネスイノベーションを支援する「博報堂SDGsプロジェクト」を推進している。

その一環として、2019年11月から毎年、「生活者のサステナブル購買行動調査」(購買行動調査)を実施している。サステナビリティに対する意識が急速に高まっており、SDGsの認知率は19年から22年にかけて大きく上昇している。生活者の購買行動や意向としては、主に、次の3つの特徴がみられる。

  1. ミニマル(最小限)=必要最小限の量を買う、資源を無駄遣いしないように気を付けて買う
  2. ロングライフ(長期的)=長く使えるものを買う、まだ使えるものは修理して使う
  3. サーキュラー(循環型)=不用になったがまだ使えるものは人にあげたり売ったりする

同調査から明らかになった内容として、まずエコバッグ持参&ごみ分別といった行動が定着していることが挙げられる。21年の調査によると、8割以上の人が、ごみの分別やリサイクルを行い、買い物にはエコバッグを持参していると回答している。また、50~60代女性では、社会・環境配慮型の商品の購買意欲と実践度合いも高く、配慮されていない商品の不買の意向も強い。Z世代などの若い世代は、社会問題についてコミュニケーションや情報発信を行ったり、社会活動に取り組むコミュニティやイベントに参加したりする人の割合が、他年代に比べて高い。

博報堂では、同調査結果に基づき、分野・テーマ別に、消費者のタイプ分類(クラスター)を作成している。食品・日用品、化粧品・美容、ファッションといった各分野に共通して、社会貢献活動の実践度やSDGsの認知率が高い先進層、健康や生活にかかわる安心安全への関心や意識が高い層、トレンドを重視する層、コストパフォーマンスを追求する層、低関与層などに概ね分けられる。

また、購買には表れない行動にも着目し、社会行動に関するクラスターも作成した。社会・環境問題に関して情報発信する「社会行動リーダー」層や、身近な社会活動に参加し応援する「社会行動応援」層があり、意識の高いZ世代はここに含まれる。

先進層のみならず、安心安全意識の高い層、トレンドを重視する層なども、環境・社会に配慮した商品・サービスを今後購入する可能性が高い。その市場拡大に向けてアプローチする価値がある。また、行動するという特徴をもつZ世代と一緒に環境・社会に配慮した活動に取り組むことを通じ、企業の味方となって、発信などで応援してもらうことが有益である。

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説明後、社会・環境に配慮した商品・サービスの提供にあたり、企業が情報を発信する際の留意点等について質問があった。亀田氏は、利便性や価格を重視する消費者も実践できるよう、具体的に提案することなど、実践的なアドバイスを提供した。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】