Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年4月28日 No.3543  化学物質規制の見直しと歯科健診報告義務の拡大 -労働法規委員会労働安全衛生部会・ワーキング・グループ

経団連は3月22日、労働法規委員会労働安全衛生部会(今村尚近部会長)と関係するワーキング・グループによる合同会合をオンラインで開催した。厚生労働省労働基準局安全衛生部の木口昌子化学物質対策課長から「化学物質規制の見直し」について、また、髙倉俊二労働衛生課長から「歯科健診報告義務の拡大」について、それぞれ説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 化学物質規制の見直し(木口氏)

木口氏

職場における化学物質の規制は、特定化学物質障害予防規則(特化則)等の特別規則で化学物質を指定して個別具体的な措置義務を課す従来の方式から、すべての危険・有害物質を対象に労働者がばく露する濃度の管理・低減を求め、その達成手段は事業者が自ら選択する方式(自律的な管理)に移行することとされている。

前回の合同会合で取り上げた第1段階の政令・省令改正(2月17日号既報)に続き、今回は第2段階の省令改正として、(1)危険・有害物質の製造・取扱事業場における「化学物質管理者」の選任義務化(2)SDS(安全データシート)(注1)の通知事項の追加と通知方法の柔軟化(3)労働者が危険・有害物質にばく露する濃度の管理・低減義務の新設(4)衛生委員会での自律的な管理の実施状況に関する調査審議の義務化(5)労働基準監督署長が認定した事業場における特別規則の適用除外――などを考えている(一部を除き、2023年4月1日から段階的に施行)。

労働政策審議会で改正省令案を諮るとともに、現場が混乱しないよう、関係業界・団体と連携して化学物質の管理を担う人材の育成や、事業場におけるリスクアセスメント(注2)実施のサポートを行いながら、自律的な管理の導入・定着を進めていきたい。

(注1)Safety Data Sheet、化学物質の危険性・有害性等の情報を記載した文書

(注2)化学物質の危険性・有害性を調査し、その結果に基づきリスク低減措置を検討すること

■ 歯科健診報告義務の拡大(髙倉氏)

髙倉氏

事業者は、労働安全衛生法に基づき、塩酸や硝酸等を取り扱う場所で業務に従事する労働者に対し、歯科医師による健康診断を行わなければならない。また、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、「定期健康診断結果報告書」を通じて歯科健康診断の実施状況を所轄労働基準監督署長に報告する義務がある。19年度に厚労省が一部の地域で実施した自主点検によると、労働者数が50人未満の小規模事業場において、歯科健診の実施率が非常に低い実態が明らかとなった。そこで、歯科健診の実施状況を正確に把握し、その実施率を向上させるため、規制を強化し、使用する労働者の人数にかかわらず報告義務を課すこととしたい。労働政策審議会で労働安全衛生規則の改正案が承認されれば、22年10月1日の施行に向けて周知を進める。

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経団連は3月30日、全会員を対象に、化学物質規制の自律的な管理への見直しに関する説明会をオンラインで実施し、約550名が参加した。

【労働法制本部】