1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2022年7月7日 No.3551
  5. 教育未来創造会議第一次提言のポイント

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年7月7日 No.3551 教育未来創造会議第一次提言のポイント -教育・大学改革推進委員会

瀧本氏

経団連は6月9日、東京・大手町の経団連会館で教育・大学改革推進委員会(渡邉光一郎委員長、小路明善委員長、橋本雅博委員長)を開催した。内閣官房教育未来創造会議担当室の瀧本寛室長から、教育未来創造会議が5月10日に公表した「我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について(第一次提言)」のポイントについて、説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 理系学生の割合を5割程度へ引き上げ

日本は生産年齢人口が減少の一途をたどり、国際競争力の低下が懸念されるなか、未来を支える人材の育成が急務である。日本は自然科学(理系)分野を専攻する学生の割合が35%にとどまり、諸外国から後れを取っている。そこで、理系分野を専攻する学生の割合を世界トップレベルの5割程度へ引き上げることを目指し、デジタル・グリーンといった成長分野の教育を強化すべく、大学等の再編を進める。具体的には、今後5~10年程度、大学等の再編に向けた初期投資の支援や、文理横断の観点からの入試出題科目の見直し、ダブルメジャー(複数専攻)やレイトスペシャライゼーション(大学入学後の専攻分野の決定)の推進など、意欲ある大学の主体的な取り組みを推進する。

■ あらゆる分野での女性の活躍推進

高校1年生では約4割の女性が理数リテラシーを有するが、大学で理工系を選択する女性は7%にとどまる。「女性は理工系に向かない」との偏見から脱却し、理工系や農学系も含めあらゆる分野で女性が活躍できる社会を産学官一体となってつくっていく。具体的には、入試で女子学生枠の確保に取り組む大学等への支援強化や、理工系や農学系の分野に進学する女子学生への官民共同の修学支援プログラムの創設等に取り組む。

■ 学びの支援の充実

世帯収入が低いほど大学進学希望割合が低く、かつ修士・博士課程に進むにつれて、勉強継続への経済的不安を感じる割合が増加する。誰もが家庭の経済事情によらず学ぶことのできる環境を整備すべく、給付型奨学金と授業料減免を行う修学支援新制度の中間層への拡大や、卒業後の所得に応じて奨学金や授業料を柔軟に返還できる仕組みの創設等を実施する。

■ リカレント教育の促進

日本では企業が従業員への教育に投資せず、個人も学ばない傾向が強い。その原因として、時間や費用の不足に加え、学び直しの成果が評価されないことが指摘されている。そこで、誰もが生涯にわたって意欲を持って学び続けるための支援や環境整備を行う。例えば、大学講座等で学び直し、好成績を修めた従業員に適切な処遇を行う企業への支援等を実施することが挙げられる。

■ 産業界への協力のお願い

産業界には、(1)大学等の機能強化の観点から、博士人材の採用・任用の強化(2)学びの支援充実の観点から、奨学金に関する代理返還制度の活用や、いわゆるリケジョの修学支援プログラムへの支援(3)学び直し促進のための環境整備の観点から、学び直し成果の適切な評価――などについて、協力をお願いしたい。

◇◇◇

内閣官房は、今夏までに実行に向けた具体的なスケジュールや方策を含めた工程表を策定するとともに、フォローアップを行う予定である。

【SDGs本部】

「2022年7月7日 No.3551」一覧はこちら