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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年7月21日 No.3553 ラーション ビジネス・スウェーデンCEOと懇談

左からヘーグベリ大使、東原副会長、ラーションCEO、佐藤委員長

経団連の東原敏昭副会長・ヨーロッパ地域委員長、佐藤義雄ヨーロッパ地域委員長、清水章同企画部会長は7月1日、東京・大手町の経団連会館で、ビジネス・スウェーデンのヤーン・ラーションCEOならびにペールエリック・ヘーグベリ駐日スウェーデン大使と懇談した。スウェーデン側の発言概要は次のとおり。

今般のウクライナ情勢を受け、世界がますます分断の方向に向かっていることを懸念している。特に最近、友好国間でサプライチェーンを築く「フレンドショアリング」という言葉をよく耳にするようになった。しかし、本来であれば、友好国とのみ貿易を行うのではなく、すべての国と貿易投資の拡大を目指すべきである。スウェーデンと日本は、ルールに基づく国際経済秩序を維持すべく、今こそ自由貿易の旗を掲げ続けることが必要である。

ロシアによるウクライナ侵攻後、当初戸惑いはあったものの、現在は撤退を決めたスウェーデン企業が多い。スウェーデンは脱化石燃料を進めており、エネルギーの対ロシア依存も大きくないため、経済への直接的な影響は限定的である。しかし、エネルギーや食料を中心に、インフレの問題に直面している。安全保障については、国民の間でもロシアへの懸念が高まったことを受け、スウェーデン政府は軍事的中立という外交政策を転換し、フィンランドと共にNATO(北大西洋条約機構)への加盟を申請した。中国についても関係を維持し、率直に意見を交換できる対話チャネルを確保すると同時に、われわれの普遍的価値を守るべく、中国にも人権やルールに基づく自由貿易といった問題への対応を促していく必要がある。現下の不安定な国際情勢において、価値観を共有する日本のような国との連携がますます重要になっている。

スウェーデンは小国であるが、日本とさまざまな共通項を有するとともに、特に、デジタル、サステナビリティ、イノベーションといった点で強みを持っている。デジタルについて、スウェーデンはキャッシュレス先進国であり、無料のオンライン送金サービス「Swish」が普及している。気候変動については、スウェーデンは最も早く炭素税を導入した国の一つであり、企業に排出削減を促すきっかけとなった。イノベーションについて、スウェーデンでは、政府と産業界だけでなく、アカデミアとも密に連携しながら、研究開発を行っている。小国であるからこそ、初めから世界を見据えて対応することが必然となっている。日本とスウェーデン共通の課題解決に向け、両国の協力関係を一層強化していきたい。

【国際経済本部】

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