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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年7月28日 No.3554 シャンパーニュ・カナダ革新・科学・産業相との懇談会を開催 -カナダ委員会

シャンパーニュ大臣(左)と藤本委員長

経団連のカナダ委員会(植木義晴委員長、藤本昌義委員長)は7月8日、フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ・カナダ革新・科学・産業大臣の来日の機会をとらえ、東京・大手町の経団連会館で懇談会を開催した。シャンパーニュ大臣の説明の概要は次のとおり。

■ 日加関係

カナダにとって日本は、かねて重要な戦略的パートナーであり、政治、安全保障、貿易投資などの面で連携している。G7エルマウ・サミットの機会をとらえ、両国首脳は気候変動、エネルギー安全保障、経済成長に関する二国間協力に合意している。

カナダにとって日本はアジア諸国の中で最大の直接投資国である。また、カナダは日本に対するエネルギー、食料、イノベーションの供給源としての役割を果たしており、2021年の対日輸出は前年比17%増を記録している。

■ 気候変動・エネルギー安全保障

カナダは、電気自動車のバッテリーにかかるサプライチェーン全体について、50年までに温室効果ガス排出量ゼロを目指すなど、エネルギー・鉱物資源分野の脱炭素化に取り組んでいる。また「日加エネルギー政策対話」等を通じ、日本企業と重要鉱物の調達や、水素・アンモニアなどの次世代燃料プロジェクトを含むクリーンエネルギーの供給に関し連携している。なお、カナダは化石燃料の有する価値に対する理解がある。ロシアのウクライナ侵略に伴い、世界のエネルギー確保は困難になる可能性がある。例えば、ドイツは石炭への依存の割合を高めているが、二酸化炭素回収・貯留(CCS)を活用すれば、温室効果ガスの排出は抑えられる。カナダでも、エドモントンはブルー水素(石炭を利用し、排出された二酸化炭素をCCSで回収する方法で生産された水素)の一大生産基地である。

■ CPTPP

日加は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)参加国中、二大経済大国であり、ルールに基づく自由貿易の旗手でなければならない。世界がデカップリングの傾向にあるなか、ルールが存在しなければそれ自体「負け」を意味する。中国をはじめ、CPTPPへの加入を申請ないしは検討している国は少なくない。ただし、加入するためには同協定の高い基準を満たすことが大前提である。加入交渉は“race to the top”(最上位への競争)であるべきで、基準を低くすることで加入を容易にすべきではない。

新型コロナウイルスの感染拡大防止、エネルギー安全保障と気候変動対策の両立など、人類最大ともいえる課題に日加が科学技術を駆使して取り組むことで、歴史を転換できると信じている。両国関係を強化するのに、これほど良い時期はないだろう。

【国際経済本部】

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