Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年10月13日 No.3562  十倉会長、隅委員長がむつ小川原開発地区を訪問 -エネルギー産業と研究開発の拠点としての発展状況を視察

経団連の十倉雅和会長と隅修三資源・エネルギー対策委員長は9月20、21の両日、むつ小川原開発地区(青森県六ヶ所村)を視察した。

経団連は、かねて同地区の開発推進に関わってきており、現在は、むつ小川原開発推進委員会(泉澤清次委員長)を中心に、事業主体である「新むつ小川原株式会社」を支援している。また、経団連会長は同社の経営諮問会議座長を務めている。十倉会長の同地区訪問は今回が初めて。

■ 視察の概要

むつ小川原開発地区は、国家石油備蓄基地や原子燃料サイクル施設、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギー関連施設のほか、核融合や放射性物質関連の研究開発施設、水素エネルギーの実証プロジェクト等の立地が進み、総合的なエネルギー拠点・研究開発拠点としての発展が著しい。グリーントランスフォーメーション(GX)の実現に向けて、同地区の重要性は一層高まっている。

今回の訪問では、国家石油備蓄基地やメガソーラー(大規模太陽光発電施設)等を見学するとともに、原子燃料サイクル施設、量子科学技術研究開発機構(QST)の六ヶ所研究所等を視察した。

■ 原子燃料サイクル施設

日本原燃が運営する原子燃料サイクル施設は、わが国の核燃料サイクル(注1)政策の中核拠点である。

同施設では、ウラン濃縮工場や高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター等がすでに稼働している。現在、使用済核燃料をリサイクルするための再処理工場と、MOX燃料(注2)工場の竣工に向けて、新たな規制基準の適合性審査とそれに対応する追加の安全対策工事が行われている。

十倉会長は、再処理工場等の早期竣工への期待を伝えるとともに、再処理関連施設の内外を見学し、竜巻対策等の安全対策工事の着実な進捗を確認した。

■ QST六ヶ所研究所

QSTの六ヶ所研究所は、核融合エネルギーによる発電の実現に向けた研究開発を行っている。

IFMIF原型加速器(核融合炉の内壁に使用する部材の性能試験のため、核融合炉内と同様の速度で中性子を発生させるための機器)の開発状況を確認した。また、核融合反応の燃料生産に不可欠な、ベリリウムやリチウム等を安定的に確保するため、省エネかつ低温で実鉱石を精製し鉱物を回収する技術の開発棟を見学した。

施設見学後の意見交換で十倉会長は、人類の英知である核融合をぜひとも活用すべきと述べ、わが国の技術による早期の実用化への強い期待を表明した。

■ 三村青森県知事、戸田六ヶ所村長らとの懇談

むつ小川原開発地区訪問の機をとらえ、青森県の三村申吾知事、六ヶ所村の戸田衛村長をはじめ、地元関係者と懇談した。

三村知事との懇談で十倉会長は、わが国のエネルギー政策に対する青森県の貢献に感謝するとともに、同地区の開発に引き続き取り組んでいく旨を表明した。これを受けて三村知事は、「会員企業の進出や大型国際会議の誘致に引き続き協力をお願いしたい」と発言した。

戸田村長らを交えた昼食会では、十倉会長からGXにおける同地区の役割への感謝と期待を述べたのに対し、戸田村長からは、経団連による引き続きの支援の要請があった。

(注1)使用済燃料から、核分裂していないウランやプルトニウムなどを回収・加工し、再び燃料に使う仕組み

(注2)ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の略称。原子炉の使用済核燃料中に含まれるプルトニウムを再処理により取り出し、ウランと混ぜた核燃料

【環境エネルギー本部】