Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年10月27日 No.3564  ガバナンス・サミット2022を開催 -危機の時代に臨む日本企業のガバナンス改革を議論

経団連は10月4日、経済産業省、ガバナンス・サミット2022実行委員会と共に東京・大手町の経団連会館で「ガバナンス・サミット2022」を開催した。同サミットは、日本企業が取り組むべきガバナンス改革の方向性について、関係省庁、企業経営者、ガバナンスの専門家等の各界の第一人者を招き、さまざまな視点から議論することを目的としている。2020年から毎年開催され、今回で3回目(注)

冒頭、ガバナンス・サミット2022実行委員会の榊原定征委員長があいさつ。岸田政権が新しい資本主義への転換を図ろうとするなか、日本企業のガバナンスを新たな社会システムに適した実効性のあるものにするため、同サミットで議論する「攻め」と「守り」のガバナンス改革を断行することの重要性を指摘した。

続いて、経団連の十倉雅和会長が登壇。「サステイナブルな資本主義」の考え方の実現には、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、さらには「分厚い中間層の形成」が重要であると強調した。また、同サミットにおいて「社会」という視点も加味した議論が行われることに期待を述べた。

次に、経産省経済産業政策局の飯田祐二局長が、経済産業政策の新機軸とコーポレートガバナンスをめぐる政府の取り組みについて講演した。飯田氏は、社会・経済課題の解決に向けて官と民が協働するミッション志向の「経済産業政策の新機軸」を紹介。また、22年7月に公表したコーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針改訂のポイントについて説明した。

国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)のエマニュエル・ファベール議長がビデオメッセージを寄せた。「コーポレートガバナンスが、企業および各国経済の回復力を高めるために重要である」とし、資本市場や企業のサステナビリティのために、ISSBが策定する国際的な基準が、日本企業の目標設定に役立つことへの期待を述べた。

ブラックロック・ジャパンの江良明嗣部長は、投資家の立場から、(1)ISSB等の国際的なフレームワークのルールづくりへの参加(2)日本的な経営における真の付加価値についての適切な情報発信――の重要性を指摘した。

日本製鉄の橋本英二社長が、「日本製鉄における構造改革と脱炭素への取り組み」について講演した。橋本氏は、構造改革・会社再建に際しての「三原則」として、(1)過去否定を伴う構造改革の迅速な旗揚げ(2)現場との対話を踏まえたトップダウンの全体最適(3)論理と数字で導かれた結論に徹底的に従うこと――を挙げた。その後、脱炭素に向けた同社の「カーボンニュートラルビジョン2050」を紹介した。

あいさつ・講演に続いて、「危機の時代に臨む日本企業のガバナンス改革」をテーマに、パネルディスカッションを行った。日立製作所の小島啓二社長は、過去最大の赤字から社会イノベーション事業への転換に向けた構造改革について、味の素の藤江太郎社長は、事業を通じた社会価値と経済価値を共創するASV(Ajinomoto Group Shared Value)経営の継続と進化について、それぞれ紹介。そのうえで、一橋大学のクリスティーナ・アメージャン名誉教授、経産省経済産業政策局産業組織課の安藤元太課長、大江橋法律事務所の国谷史朗代表弁護士を交え、おのおのの立場、経験をもとに、「ボード3.0」などの海外の議論も踏まえたガバナンス改革の方向性について議論した。

※ 会議の内容は、ガバナンス・サミット2022ウェブサイト(https://gsummit.jp/)に掲載予定

【ソーシャル・コミュニケーション本部】