Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年12月1日 No.3569  訪英ミッションがロンドン、オックスフォードを訪問 -企業と投資家の建設的な対話の深化に向けて意見交換

経団連は、11月1日から5日にかけて、日比野隆司審議員会副議長/金融・資本市場委員長を団長、出雲充審議員会副議長を共同団長とする5社・10人で構成されるミッションを英国(ロンドン、オックスフォード)に派遣した。

同ミッションの目的は、企業と投資家との建設的な対話の深化につながる示唆を得るとともに、日本企業の環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する取り組み、投資家との対話についての情報を発信し、日本市場へのより一層の投資拡大につなげることである。各懇談では、ESGやコーポレートガバナンス、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)、投資家との建設的な対話などをテーマに意見交換した。

英国では金融資本市場と社会、ビジネス、大学等が連携し、未来創造に向けた好循環を生みつつある。金融資本市場が、社会の未来創造に果たす本来の力の強さと役割の重要性を再認識する機会となった。各懇談概要は次のとおり。

■ ロンドン

懇談先=ロンドン証券取引所グループ、リーガル&ジェネラルインベストメント、Green Finance Institute、シェル、BP、ロイズ、財務報告評議会(FRC)、金融行為規制機構(FCA)、30%Club、ICGN

コーポレートガバナンスについて、ICGNのジョージ・ダラス政策ディレクターから、「コーポレートガバナンス・コードが成長に貢献したかどうかはわからないが、経営におけるガバナンスの重要性に関する議論は深まっている」との発言があった。FRCのヤン・デュ・プレシス議長は、「コードによって、企業と投資家が対話する土壌が醸成されている」と述べた。

シェルのアンドリュー・マッケンジー会長からは、「経営者は株主価値の創造に資する経営を行うことが重要。既存株主だけでなく将来株主も含めて価値を還元することに使命感を持っている」との発言があった。その他の懇談において、資本コストを意識した経営、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)や国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の方向性に沿った情報開示の重要性について言及があった。

また、30%Clubのディアンドラ・ソービア共同議長からは、(1)英国で2020年までに女性取締役比率を30%にするとの目標を導入し、それが達成されたこと(2)今は目標を40%に引き上げ、D&Iを強力に推進してきたこと――などについて説明を聴き、意見交換した。

■ オックスフォード

懇談先=オックスフォード大学、オックスフォード・サイエンス・エンタープライズ

オックスフォード大学では、特許取得やスピンアウトを通じて、研究者の持つ研究シーズをイノベーションに転換し、起業できるよう支援している。また、スタートアップエコシステムの仕組みについても、研究の成果をあらゆる手段で普及させるべく、民間部門などと協力して、スピンアウトや事業化を積極的に推進しているとの説明があった。

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経団連は、同ミッションの成果を近く報告書として取りまとめるとともに、今後も海外投資家との意見交換やミッションの派遣などを通じて、企業と投資家との対話の深化に取り組む。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】