第54回NGO活動成果報告会
宮城県水産技術総合センター 高橋清孝氏より、『外来魚の増殖阻止による在来魚の復元』について報告
シナイモツゴは東日本に生息する淡水の小魚で、1916年に品井沼で新種発見された。しかし、その後干拓や農薬使用などによって数が減り、現在では環境省レッドデータブックに絶滅危惧IA類として記載されている。
また、シナイモツゴの生息地である池沼には、1990年代以降、外来の魚食種であるオオクチバス(いわゆるブラックバス)が持ち込まれ、水域の生態系に大きな影響を与えている。このことから、一方では、人口採卵・繁殖等による復元作業に取り組む(放流は仙台平野に限定)一方、外来種(ブラックバス)の駆除に取り組んできた。
駆除の方法は、最も確実なのは、沼の水を抜いて、全数捕獲することだが、水抜きができない沼やブラックバス以外の生物が生息している沼などでは、この方法は取れない。そこで、一般的には、(1)人口産卵床を設置し、そこに産み付けられた卵とその周辺で卵を守っているオス親を捕獲する。(2)タモ網で稚魚をすくい捕る。(3)定置網、刺網で幼魚と成魚を捕獲するなどの方法をとってきた。しかし、これらの従来手法では、メス親の捕獲がほとんどできないという問題があった。
そこで、産卵期のオスの胆汁にメスを集めるフェロモンの効果があることが判明したため、これを用いたところ、メスをおびき寄せることに成功した。この方法では、ブラックバスのメスだけを選択的に駆除でき、おびき寄せて捕獲するため効率的なため、個体数が少ない場合にも適用できるというメリットがあり、水抜きのできない池沼における完全駆除への道を開くものである。
今後、オスの胆汁の成分分析を行い、フェロモンの合成(大量生産)の可能性も探っていく。
また、シナイモツゴのような小魚の生息には、生息地であるため池等の管理も必要であり、それらを恒常的に実施できるのは地元の農業者であることから、農業関係者の意識啓発や、「シナイモツゴ郷の米」というブランド米の認証なども行い、経済的なインセンティブになる仕組みづくりも行っている。





