アジア太平洋地域や国内の自然保護プロジェクトを支援する事業


日本経団連自然保護基金/日本経団連自然保護協議会


第56回NGO活動成果報告会

第56回NGO活動成果報告会

2008年10月16日開催

チャールズ・ダーウィン研究所陸域研究部門統括者マーク・ガードナー博士、日本ガラパゴスの会理事・事務局長の西原 弘氏、同理事の奥野玉紀氏(通訳)から、『ガラパゴス諸島 自然生態系の救済と再生』について報告

1.ガラパゴスの自然と現状

ガラパゴスは島であることから、生態系が汚染や気候変動の影響を受けやすいという特徴がある。また、社会的にも人材やマーケットが限定的であり、大陸からの輸送費などのコストがかかるという特徴がある。現在、ガラパゴスでの自然保護には、この社会的な問題の影響を避けて通ることはできない。

ガラパゴス(エクアドル)の主要な産業は観光である。年間約20万人が訪れ、その数は7年毎に倍増している。移住は現在では規制されているが、過去の移民の影響で、人口は自然増を続けている。不法移民も後を絶たない。島の土地は農業には向かないので、食糧の95%が大陸から輸送されている。現在は、陸地の97%を「国立公園」として立ち入りを規制しており、観光自体の環境への影響はそれほど大きくない。しかし、間接的な影響、たとえば、観光船用の燃料輸送船が座礁して油を漏らすといった事象がある。

深刻なのは外来種の問題である。ヤギ、ネズミ、ネコなど人により持ち込まれたもの、あるいは、人について入ってきたと思われるハチ、寄生性のハエ、噛みアリ(鳥類に寄生)、鳥マラリア(最近発見され、深刻な問題)などがある。調査によれば、島内の維管束植物のうち、固有種は238種、在来種378種に対して、外来種が888種という結果になっている。

これらに対しては、地方政府の力を強くして施策を効果的に行うこと、持続可能なビジネスを行うこと、島民の環境教育を進めることが必要と考えている。

2.KNCFの支援を受けたプロジェクト

今年度のプロジェクトは、(1)イザベラ島の3種の絶滅危惧種の調査(来年1月以降実施予定)、(2)フロレアナ島の次世代教育、(3)サンタクルス島のスカレシア・アフィニスという固有植物種の保護の3事業である。(2)は産業がほとんどない島内において、島民が環境の保全に資する活動に従事することができるよう教育を行うものである。保全による経済的効果(価値)を教えることが重要で、それにより、規制による保全とは異なり、対立を避けることができる。(3)は、ヤギの捕食から守るため、緊急避難的に生息地をフェンスで囲む事業である。保全効果は認められるが、フェンスが生態系に与える影響も今後調査する必要がある。人の居住地拡大により、生息地が居住地と隣接していたところでは、国立公園内の別地に移植した。開発と保全のせめぎあいが起きている。

来年2009年は、ダーウィン生誕200年、種の起源出版150年、国立公園設立50年というメモリアル年であり、国際シンポジウムの開催等も検討している。