第60回NGO活動成果報告会
ロシア沿海地方 ビキン川森林地帯の住民と行う流域保全活動
- FoEジャパン タイガチーム
- 野口 栄一郎 氏
ロシア沿海州は、日本列島から日本海を挟んだ向かい側にあたる。ここの生態系は、最終氷期に種の避難場所になったため独特な生物相となったと考えられている。森林は、針葉樹広葉樹が混じっていて北海道の天然林と似ている。代表的な生物は「アムールトラ」であり、「ナベヅル」の繁殖地でもある。いずれも絶滅が心配されている種である。
住民は、「女真族」と呼ばれるツングース系の民族であり、12世紀には金帝国を打ち立てたが、13世紀にはモンゴル(元)に滅ぼされ、1860年の北京条約以降はロシア領となった。ソ連時代は、国営狩猟組合に山菜や毛皮を売ることにより比較的安定した生活を送っていたが、ソ連崩壊後、組合がなくなり収入源が絶たれたうえに、民間資本による大規模な森林伐採やアムールトラ(毛皮や漢方薬として珍重)の密猟が行われるようになり、保護管理の仕組みやコミュニティ意識が失われていった。密猟は、現金収入のために地元の人が行っている場合もある。
FoEジャパンでは、2003年よりKNCFの支援を受けて、この地の住民に対するさまざまな活動の提案を行ってきた。
自衛パトロールについては、支援のおかげで、ボートや燃料、拠点となるキャビンなどを購入することができ、近年では地元の警察官も同行するようになり、摘発の実も挙がっている。収入源の開拓については、近年では現地の手工芸品を買い取り、日本の博物館(北海道立民族博物館など)に売却している。エコツーリズムについては、FoEジャパンが企画したホームステイツアーに日本人を連れて行く活動をしている。これは、住民にとっても自分たちの文化に誇りを持ち、それを守ろうとするきっかけとなるものである。また、最近では、学校教育において「タイガ林とともに生きる民」としての生きかたを子供たちに教えるための準備作業を進めている。
支援の継続的な実施により、いったん崩壊した地域コミュニティが自分たちのアイデンティティに基づき復活しつつある。





