アジア太平洋地域や国内の自然保護プロジェクトを支援する事業


日本経団連自然保護基金/日本経団連自然保護協議会


第63回NGO活動成果報告会

第63回NGO活動成果報告会

2009年8月19日開催

ヤマネの総合的研究の発展から、日本と世界のヤマネ保護、森林保全、森林管理、環境教育の応用化へ
〜とくにアニマルパスウェイの普及を国内外に目指して〜

ニホンヤマネ保護研究グループ
湊 秋作 代表
ヤマネを知る

ニホンヤマネは体長が8cm、体重が18g程度で、1年を通して睡眠をよくとり、のんびりした特性をもつ哺乳類である。世界で26種生息しているが、ドイツで約5000万年前の化石が発見されている。日本では国の天然記念物、準絶滅危惧種に指定され、北海道を除く全国に生息しているが、その数は少ない。現在の調査活動地域である山梨県の清里では、88年9月から09年5月までの間に僅か約200頭ほどが確認できただけである。

ヤマネの手足は体の横に出ているので、枝を掴みやすい構造になっており、枝が道となって巣への往来や餌を取りに行く。多数の巣箱を仕掛けて行動範囲の詳細なマッピングと生態調査を行った結果、4〜10月が活動期で、6ヵ月間冬眠していること、体重は5〜9月ころまでメスは育児中のため栄養を蓄積しておりオスより重いが、冬眠するころにはメスの方が軽くなること、メスが多く生まれてくるが育児はメスだけで行うため、そのプレッシャーでメスの死亡率が高く、成長した段階ではほぼ同数になることなどが分かった。

ヤマネに0.6〜1.2gの発信機を付けての1個体毎の行動調査では、昼間は木の穴、朽木、枝の間で休んでいるのを確認、夜間は夜光性の道具を付け徹夜で観察し、木の皮や花の密、アケビや虫を食べていることが確認された。

冬場の体温は0〜5度位まで下げて冬眠、夏の夜は35〜36度位になるが、朝活動を休むころには体温を下げる。省エネをしているわけである。生後30日位から体温の調節をしている。

ヤマネブリッジからアニマルパスウェイへ −企業との協働の成果−

清里で、96年に森を分断して市道ができたため、ヤマネが往来できる橋の建設を県に働きかけたところ「ヤマネブリッジ」ができたが、総工費が2000万円も要した。ヤマネブリッジの「社会化」を目指して、誰でもが、どこでも、安くてメンテナンスフリーの、動物が通りやすい橋を作る必要を感じていた。

03年秋、自然保護協議会の交流会で清水建設と大成建設と出会い、研究会を立ち上げ、活動を開始した。ヤマネだけを対象とせず、樹上で生息する動物全てが通れる橋とすることで、「アニマルパスウェイ」と命名した。研究開発を重ね建設に着手、07年7月に設置したが、建設費用はヤマネブリッジの1/10の200万円でできた。建設17日後にヒメネズミが、18日後にヤマネが渡り始めた。

研究会はアニマルパスウェイの研究活動で、08年、土木学会の「環境賞」を受賞した。パスウェイの設置に電柱を利用することを研究していくため、09年には研究会に東日本電信電話の参加が決まった。10年に名古屋で開催のCOP10でアニマルパスウェイを世界に提唱していきたい。

(写真提供:ニホンヤマネ保護研究グループ)