第69回NGO活動成果報告会
2010年4月13日開催
魚食文化継承のための豊かな里海づくり
- NPOエコテクノロジーセンター
- 森 鐘一 会長
藻場の現状
日本の代表的な藻場としてアマモ場、海中林、ガラモ場があり、産卵場、幼稚魚の成育場、魚介類に対する餌料供給の場であり、生物生産や生物多様性の維持に貢献している。また、生物生産を通して、物質循環機能や水質浄化機能を有している。生産性の高い藻場は日本全国の沿岸に広く分布していたが、磯焼け(最低水温の上昇等)、水質汚濁(海域の富栄養化による赤潮・青潮の発生)や埋立等により、過去30年間で約4割が消失した。三重県沿岸の伊勢湾においても藻場の消失が著しいが、鳥羽海域では良質の藻場(アマモ場、ガラモ場、海中林)が存在している。この事業(2009年)と2000年調査の比較では、消失した藻場も若干あったが、鳥羽海域には多くの藻場が存在していた。
魚食文化継承のための藻場など生態系の回復
漁獲量の90%を占めるための構成種は、同じ水産国であるノルウエーでは8種、日本では33種が必要であり、多様な生態系を有し、少量多品種を生産する海域である。鳥羽では魚類だけでも120種以上を出荷している。古来より日本人は豊かな海域を利用して、稲作漁労を中心に生活してきた。その証拠として神饌(神様への供物)は酒、米、魚介類(多種)、海藻、鳥肉、野菜(大根、蓮根)であった。しかし、近年、輸入食料の増加や工業生産による栄養塩収支の不均衡(浄化能力以上の栄養塩の輸入)及び埋立による干潟・藻場の減少のため、海域は富栄養化し、赤潮・青潮(海底の貧酸素化)を招き、海域の浄化能力を一層減少させる悪循環となっている。それ故、藻場再生は、豊かな海域を有した日本において、持続可能な漁場利用、さらに持続可能な社会形成のために重要な課題である。この事業では播種シート(アマモ場)、藻場造成ブロック(海中林、ガラモ場)により、藻場再生実験を行う予定である。最後に、持続可能な社会形成のためには、我々は森里(川)海の連環を考慮した生活をすべきであり、自然についてほとんど分かっていないことを自覚すべきである。