Policy(提言・報告書) 経済政策、財政・金融、社会保障  高齢者医療制度の再構築と被用者保険の維持・発展に向けた被用者保険関係4団体共同アピール

被用者保険は、厳しい経済状況のもと急激な医療費の増加と高齢者医療に対する過重な拠出金負担から、軒並み厳しい財政状況に陥っています。現役世代の人口が減少し、超高齢社会が目の前に迫る中、現役世代からの仕送り(支援金)方式を基本とした現行の後期高齢者医療制度では早晩限界が来ます。

そのため、日本経団連、連合、協会けんぽ、健保連の被用者保険関係4団体は一致して、高齢者医療制度に対する公費拡充および被用者保険と地域保険の維持・発展を求めてきました。本年5月に成立した「国民健康保険法等の一部改正法案」の国会審議でも、高齢者医療制度における公費の拡充を求める附帯決議が行われました。

しかし、「高齢者医療制度改革会議」で検討されている案では、公費の追加が極めて限定的であるため、現役の保険料負担は限界を超え、医療保険財政が破たんして、世界に誇れる日本の皆保険制度は崩壊しかねません。

安定的な公費財源を確保して、医療保険制度の崩壊を防ぎ、持続可能な制度とすることは政府の責任です。まず今回の改革案については、75歳以上の医療費への公費5割を実質確保することはもとより、適用関係の変更に伴う被用者保険の負担増には国費で対応すること、公費投入を前期高齢者にも拡大すること、現役世代の拠出金負担額に一定の上限を設けることが必要です。

一方、医療費の増加が避けられない中、医療費の効率化を進める保険者の役割は、ますます重要になります。今後とも、国民健康保険と被用者保険が共存し、地域と職域、それぞれの保険者機能を十分活かせる制度体系の維持が不可欠です。

そのため、政府は、安定財源の確保の道筋と国民が安心できる社会保障のグランドデザインを早急に示し、超党派で議論を尽くした上で、その実現に積極的に取り組むべきであります。

私たち被用者保険関係4団体は、公費の拡充、被用者保険と国保の共存による皆保険体制の維持・発展を強く訴え、今後取り組みを一層強化していきます。

2010年12月6日
高齢者医療制度の再構築と被用者保険の維持・発展に向けた緊急集会
日本経済団体連合会 会長 米倉弘昌
日本労働組合総連合会   会長 古賀伸明
全国健康保険協会 理事長   小林 剛
健康保険組合連合会 会長 平井克彦