Policy(提言・報告書) 税、会計、経済法制、金融制度  平成27年度税制改正に関する提言

2014年9月10日
一般社団法人 日本経済団体連合会

I.はじめに

一昨年の政権交代以降、景気回復の動きが持続している。安倍政権の推進する大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略というアベノミクスの3本の矢により、昨年度は、実質2.3%、名目1.9%の経済成長率を達成した。経済成長に伴い、企業収益は改善し、平成24年度からの法人税率の引き下げにも関わらず、法人税収は構造的に回復している。また、設備投資では、2014年4~6月期の法人企業統計によると、前年同期に比べて3.0%増と5期連続で増加傾向にある。さらに、2014年春の賃上げ率では、2.19%と15年ぶりに2%の水準を超えるとともに、本年7月の有効求人倍率は1.10倍と引き続き22年ぶりの高い水準となるなど、景気回復の効果は賃金・雇用にまで着実に及んでいる。2014年4~6月四半期別GDPは、消費税率引き上げの駆け込み需要の反動減に伴い、国内民需を中心にマイナスとなったが、今後、予算の早期執行など政策の下支えがある中で、堅調な企業業績、雇用情勢の着実な改善などを受け、プラス成長に復帰し、回復基調を続けていくと考える。アベノミクスにより、日本経済は、経済成長が企業収益の向上に止まらず、賃金・雇用の改善に結びつく経済の好循環を実現しつつあると言える。

今後とも、景気回復の動きを持続させ、日本経済の中長期的な成長につなげるためには、成長戦略を着実に実行し、企業の活力を引き出す大胆な規制・制度改革を断行するとともに、経済成長に資する税制を志向し、企業の投資・事業活動をより一層促進することが重要である。その点で、6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2014」(いわゆる「骨太の方針」)において、政府・与党が法人実効税率の引き下げを決定したことを評価する。

他方、国の財政状況は、平成26年度末に国・地方をあわせた長期債務残高が約1010兆円超、対GDP比202%となる見込みである。もっとも、政府目標である「2015年度のプライマリー・バランス赤字半減」については、消費税率の引き上げはもとより、アベノミクスによる税収の構造的な増加により、達成できる見込みとなった。今後、「2020年度までのプライマリー・バランスの黒字化」の実現に向け、よりアベノミクスの成長戦略を後押しすることが必要である。

あわせて、財政再建への不断の取り組みとして、社会保障給付の重点化・効率化をはじめとする社会保障制度改革、電子行政や番号制度の推進、各種規制・制度の見直し等を通じた行政の効率化による歳出抑制への努力も欠かせない。

経済界としても、民主導のイノベーションを通じて、企業業績の向上が、投資の拡大、雇用・賃金の改善につながる経済の好循環を創り出すべく、引き続き積極的に取り組みを進める。経団連として、今後さらに、持続的な成長と豊かな国民生活の実現に邁進すべく、平成27年度税制改正の考え方ならびに今後の税制改正の方向性について、以下のとおり、提言を行う。

II.消費税率の引き上げ

(1) 2015年10月の消費税率10%への着実な引き上げ

財政の健全化や社会保障制度の持続可能性の確保、成長基盤の創出のためには、消費税率の引き上げが不可欠である。本年4月の8%への引き上げにより、基礎年金国庫負担割合の2分の1財源等が確保されたが、10%への引き上げにおいては、とくにわが国において喫緊の課題となっている子ども・子育て支援に係る施策への充当が期待される。経済状況等を総合的に勘案して、着実に10%へと引き上げるべきである。

(2) 複数税率の導入について

現在、与党では、消費税率の引き上げに伴う低所得者対策として、複数税率の導入が検討されているが、単一税率を維持すべきである。複数税率の導入によって、標準税率が10%で実感できる程度の差をつけると大幅な税収の減少を招き、社会保障制度の持続可能性を損なう。一方で、税収を補うために標準税率をさらに高くすることは、国民の理解を得られない。

複数税率については、この他にも、対象品目の線引きが困難であり、課税の中立性が損なわれること、高額所得者にも複数税率の恩恵が及ぶこと、徴税側・納税側の事務負担が増加すること等の問題がある。

低所得者対策としては、社会保障・税一体改革による給付と負担の全体像を踏まえつつ、当面の間は、簡素な給付措置を実施すべきである。また、番号制度の本格的な稼働後においては、給付付き税額控除も1つの選択肢として検討すべきである。

(3) その他、消費税の引き上げに伴う諸課題への対応

消費税の適正転嫁は当然であり、引き続き、転嫁対策法やガイドライン等を踏まえ、経済界として適切に対応していく。

消費税の仕入税額控除制度については、95%ルールの廃止の見直しや事業者の事務負担軽減策を検討すべきである。

福祉車両や損害保険料など仕入税額控除ができない非課税取引については、消費税率の引き上げに伴い、転嫁の難しさにより事業者の負担が拡大するとともに、業務の内製化を志向させる税の中立性の課題(セルフ・サプライ・バイアス)を拡大させることから、所要の措置を検討すべきである。

消費税率の10%への引上げの際には、8%への引上げ時に生じた課題を踏まえた上で、適切な経過措置等の対応を実施すべきである。また、酒税及びたばこ税といった個別間接税との関係を整理する必要がある。

III.平成27年度税制改正に関する提言

日本の立地競争力強化、我が国企業の競争力強化、経済活性化の観点から、法人課税において実質的な税負担軽減となることが必要であり、国際競争におけるイコールフッティングの視点が重要である。

1.法人課税の抜本改革

(1) 法人実効税率の引き下げ

「経済財政運営と改革の基本方針2014」の中で、法人実効税率については、成長志向に重点を置いて「来年度から引き下げを開始し、数年で20%台まで引き下げることを目指す」との画期的な方針が示された。企業の国際競争力を強化するとともに、日本の立地競争力を高め、対日直接投資を促進し、経済活性化を図るため、法人実効税率を国際的に遜色ない水準に引き下げることが重要である。そのため、利益を生み出す企業に対する実質的な税負担軽減となるかたちで、まず2015年度に2%以上引き下げることから開始し、3年を目途に20%台とし、将来的にはOECD諸国平均、また、競合するアジア近隣諸国並みの25%へと引き下げるべきである。経済界としてもアベノミクスの効果を積極経営、前向きの投資、雇用・賃金の向上につながるよう努力していく所存である。

なお、法人実効税率引き下げに関連して代替財源の議論が行われているが、必要なのは、中長期的・複数年度に亘ってトータルで十分な税収を生み出すための「経済基盤」である。アベノミクスの構造改革の成果として、長く続いたデフレからの脱却のきざしが見られ、累積欠損金の減少が生じているが、これによる税収の増は決して一過性の上振れではなく、構造的なものである。内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」では、今後10年(2013年度~2022年度)の平均成長率が名目3.3%の経済再生ケースでも、2020年のプライマリー・バランスは対GDP比▲1.8%となっており、黒字化するためには法人実効税率引き下げを含めたあらゆる成長戦略を確実に実行し、経済の好循環を通じた持続的な高い経済成長による課税所得の拡大を図ることが重要である。安易な課税ベースの拡大は、我が国経済を再びデフレに陥れる危険性もあるため、避けるべきである。

(2) 地方法人課税の改革

国・地方を合わせた法人所得関係の税収のうち、地方税収(地方法人特別税を含む)の占める割合は約4割、また法人実効税率のうち、地方分は約3割を占めている。したがって法人税改革を行うにあたっては、地方法人課税の改革が不可避である。

  1. 改革の方向性
    経済の好循環を継続させ高い経済成長を実現するためには、アベノミクスの構造改革の成果を全国津々浦々に波及させ、地方経済を活性化することが不可欠であり、安倍政権においても「地方創生」を最重要課題として取り組んでいる。
    その為には安定した地方歳入の確保が欠かせないが、地方法人課税、とりわけ法人所得課税は地域間の偏在性が大きく、税収も不安定で基幹的な地方税としては不適切であるばかりか、近年の改正で地方法人特別税や地方法人税が創設されるなど、より複雑化している。超過課税も負担が法人に偏っている。地方法人課税の見直しにもかかわらず、現行の自治体の区分を前提とする以上は、一部の自治体を除き、財源不足の解消の見込みはなく、税収の再配分により、格差を是正する以外の道はない。応益性を徹底すればするほど、人口が多くサービスが充実している東京等大都市圏に税収は集中し、地域間格差は助長される。このため、地方法人課税の見直しにあたっては、単なる財源確保の観点からではなく、法人の負担水準のあり方も含め地方税全体の見直しを行うべきである。また、国・地方全体の税体系の見直しを行い、地方の法人所得に対する課税部分については、国税の法人税に統合し、交付税等により適切に配分するとともに、国際的イコールフッティングを踏まえ、段階的に税率引き下げを行うことが、偏在是正、税制の簡素化の観点から望ましい。

  2. 外形標準課税
    応益課税としての性格の明確化や税収の安定化といった趣旨で、平成15年度に導入された法人事業税の外形標準課税を強化すべきとの意見が一部にあるが、地方の行政サービスに対する応益課税という意味では、法人住民税の均等割、固定資産税、事業所税を含め、所得にかかわらずに負担する地方税全体のあり方をまず検討し、受益と負担の関連をしっかり整理すべきである(所得にかかわらずに負担する地方税のうち、欠損法人の負担額は平成23年度推計:約4.5兆円、平成24年度推計:約4.3兆円)。その上で、欠損法人に課税強化するのではなく、どうやって欠損法人を減らしていくのかが重要である。
    しかも、外形標準課税だけでは税収の偏在是正には大きな効果は期待できない。所得割を縮減して、外形標準課税を拡大し、見かけ上の実効税率を下げるといった手法では、むしろ固定費を増やし企業経営のフレキシビリティを阻害し、経済が縮小に陥るおそれもある。
    さらに、「賃金」が課税標準の相当部分を占める外形標準課税は、国際的にみても、廃止、縮減の方向である。外形標準課税強化は国際的な潮流に逆行し、政府が進める対日直接投資促進の障害になるおそれがある。現行制度のまま、その拡大を行う場合、賃金・雇用を増やすと増税となることから、雇用の維持・創出に悪影響が及び、安倍政権が進める政労使の取り組み、所得拡大の方向性にも逆行する。報酬給与額が増加した場合、雇用安定控除を適用しても、増加額の70%は課税対象となり、収益配分額に占める報酬給与額の割合が70%を下回る場合は、増加額の100%が課税対象になる。
    したがって、外形標準課税の安易な拡大はすべきではない。特に、現在、資本金1億円超の法人に課されている外形標準課税の対象を資本金1億円以下の法人にまで拡大するならば、一般的に人件費の比率の高い中小企業の経営を大きく圧迫することとなる。地域の雇用の約8割を支えている中小企業へは格別な配慮が必要である。

  3. 地方税の損金算入
    固定資産税、都市計画税、また「事業」に対して課せられる法人事業税等は、その本質上、所得に課せられる法人税や法人住民税とは異なり、損金算入できるのは税の性格上、自然なものであることから、現行制度を維持すべきである。地方財政審議会の報告書でも、その見直しは慎重に行うべきとされている。

  4. 申告・納付の簡素化
    地方法人課税は、税目やその課税ベースが多様である上に、申告書類が多く、計算が複雑であり、また税率の異なる都道府県、市町村毎に申告・納付を要することから、法人、特に全国に展開している法人にとっては、納税に係る事務負担が大きい。これら負担を軽減させるべく、付加価値割の課税標準など、計算の簡素化、申告書類の削減、申告の電子化徹底、フォーマットの統一、自治体毎の税率の一覧性向上、等の見直しを速やかに行うべきである。また、平成28年1月に予定されている番号制度の利用開始とあわせ、本店が所在する都道府県等への地方税の一括納付を可能とするシステムについても、導入を検討すべきである。

  5. 償却資産に係る固定資産税
    償却資産に係る固定資産税について、特に機械装置への課税は米国やカナダの一部の州などで行われているのみであり、わが国製造業が競合するアジア近隣諸国において例がなく、極めて稀な税となっている。廃止を含め抜本的な見直しを行うべきであり、少なくとも新規取得した機械装置については固定資産税を免除すべきである。また、残存価額の廃止等、法人税の課税所得の計算方法との整合性を図るべきである。

  6. 事業所税
    従業者割は法人事業税付加価値割や法人住民税均等割と同様、賃金・雇用への課税となっており、安倍政権が進める政労使の取り組みに逆行している。また、資産割は固定資産税及び都市計画税との二重課税である。他の税目と整理・統合すべきである。

(3) 租税特別措置

租税特別措置は、その適正化という観点から議論をしていくべきである。よって、見直しをする際には、将来の国のあり方を見据えた上で、そのあり方を明確にすることが必要であり、また国際競争におけるイコールフッティングの視点が非常に重要である。あるべき国の姿を想定した上で、国際競争力をいかに強化するかという視点が成長戦略には欠かせない。

したがって、今日の政策に照らしてその効果や役割を見直すのは当然であるが、特に国際的な動向も十分に把握した上で、わが国の将来を支えるために必要なもの、国際的イコールフッティングを実現するために不可欠なものは、維持・拡充や本則化・恒久化すべきであり、逆に役割を終えたものは廃止すべきである。

  1. 研究開発税制
    今年6月に閣議決定された「日本再興戦略 改訂2014」や「科学技術イノベーション総合戦略2014」でも述べられているように、少子高齢化が進む我が国が、今後30年、50年経っても世界経済をリードする存在であり続けるためには、科学技術イノベーション立国として、常に技術革新を生み出していく必要がある。そのためには研究開発が生命線となるが、特にわが国では、組織別研究費負担割合において民間企業の占める割合が81%と、他国(英国:50.1%、ドイツ:66.4%、米国:67.5% 等)に比べ高いことから、民間の研究開発投資を促進することが極めて重要となっている。研究開発税制は、こうした政策目的を達成するための必須のツールとして機能しており、企業の研究開発投資を支えている。研究開発税制は、控除額に対し企業の研究開発投資を約2.3倍押し上げる効果があるとの実証研究もある。
    とりわけ「総額型」はわが国で研究開発活動を継続的に行うこと自体への重要なインセンティブとなっており、その果たす役割は非常に大きく、不可欠な制度である。今年6月の政府税制調査会取りまとめにおいては「試験研究費の増加」にこそ価値があり、税制上のインセンティブを付与する対象として相応しいとの発想が読み取れるが、平成14年11月の政府税制調査会答申においては「研究開発の分野でも合理化・効率化が進められる中で、研究開発支出が増加した場合に税額控除を行う制度が有効に機能しなくなっている一面があることから、研究開発支出の総額の一定割合を控除する制度を導入する」とされ、平成15年度から「総額型」が導入された経緯に留意すべきである。また、諸外国では法人税率を引き下げる一方、産業競争力強化の必要性から、研究開発税制の継続・深掘りを実施している。国際的なイコールフッティングの観点から見れば、控除上限については、英国、フランス、中国、韓国は無制限であり、繰越期限についても英国無期限、米国は20年、中国・韓国は5年となっている。
    よって、研究開発税制については、平成26年度末に期限を迎える税額控除限度額の時限的引き上げ措置(法人税額の20%から30%)や研究開発費の範囲も含め、現行制度を維持・拡充すべきであり、競争力強化に資するものは、本則で措置すべきである。
    さらに、ベンチャー企業を含む他の民間企業や大学、公的研究機関等が持つ技術やアイデアを取り込むことによって新しい価値を創出するオープンイノベーションを後押しすべく、控除率の大幅な引き上げや特別試験研究費の範囲拡大などによって、特別試験研究費税額控除制度を拡充すべきである。
    なお、欧州諸国においては近年、知的財産権に起因する所得について低税率又は所得控除を適用する、いわゆるパテントボックスを相次いで導入している。わが国の研究開発拠点としての立地競争力を維持・強化するためにも、当該制度の創設に向け検討すべきである。
    旧公益法人から移行した一般社団・財団法人の学術研究用資産については、研究開発法人の機能強化の観点から、固定資産税を非課税とすべきである。

  2. その他の租税特別措置
    研究開発税制の他にも、資源・エネルギー関連税制、国際海運、災害復興・防災等、わが国の将来を支えるために必要なもの、国際的イコールフッティングを実現するために不可欠なものは、維持・拡充すべきである。

(4) 欠損金の繰越控除制度

欠損金の繰越控除制度の趣旨は、企業活動が期間を定めずに継続的に行われるのに対し、法人税の課税所得は事業年度を定めて計算されるため、法人税負担の平準化を図ることにあり、諸外国にも広く存在するものである。

その中でも、繰越期間について日本の9年というのは、欧州主要国の無期限、米国の20年に比べ劣後しており、対日直接投資促進の観点においても、欠損金の繰越期間が短いことがグローバル企業におけるアジアでの立地選択において、競争上不利になっていることから、繰越期間を延長すべきである。また、当期控除額の範囲(所得の80%)についても、累積欠損からの早期回復により次なる成長を図るという観点から、少なくとも現行制度を維持すべきである。

(5) 受取配当益金不算入制度

受取配当金への課税は、課税済みの所得の分配に対する二重課税である。また、受取配当益金不算入制度は、諸外国においても広く導入されている制度であり、英国やドイツ等は出資比率にかかわらず益金不算入が認められている。本来は益金不算入割合を引き上げるべきであり、国際競争におけるイコールフッティング及び事業再編の円滑化の観点から、少なくとも現行制度を維持すべきである。

法律上、議決権保有を制限されている業界があり、持株比率が低いことをもって課税を強化することとなると特定業界に負担が集中し、ひいては証券市場への悪影響が懸念される。また、成長戦略を加速化・深化するために施行された「産業競争力強化法」において、産業の新陳代謝を促進する為の措置として事業再編の円滑化が図られ、事業再編促進税制も措置されるなど、複数企業における事業統合による競争力の強化、持続的成長が目指されている中、25%よりも高い持株比率の株式からの配当にまで課税を及ぼすことは、国の成長戦略を否定するものといわざるを得ない。

(6) 減価償却制度

減価償却は、資産の耐用年数にわたり、収益と対応する形で実態に即して費用配分が行われなければならない。会計処理では、IFRSにおいても定率法、定額法ともに認められる方法である。償却による投資コストの回収は企業の競争力に大きな影響を与えることから、定率法の廃止は新規設備投資を抑制する恐れがある。あわせて、経済の活性化と国際競争力におけるイコールフッティングの観点から平成19年度改正で定率法が導入された経緯も踏まえる必要がある。この点から、現行の定率法を維持すべきである。

(7) 国際課税

  1. BEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)
    経済のグローバル化に対応した新たな国際課税ルールを構築すべく、OECD/G20においてBEPSへの対応が議論されている。わが国経済界としては、BEPSプロジェクトにおいて、引き続き、経済交流の促進と適正な課税の確保という国際課税制度の本来の趣旨を踏まえたバランスの取れた議論が行われることを期待する。経団連としては、今後とも積極的にプロジェクトに貢献していく。
    BEPS行動計画は15の項目から成るが、その内容は多岐に渡り、また相互に密接に関連する。執行に際しての関係国間の協調も欠かせない。今後、行動計画のうち、成果物が公表されたものについては、国内法制化が検討されることになると考えられるが、他の行動計画との整合性、諸外国の動向、納税者の事務負担に十分留意しつつ、わが国の立地競争力の低下につながることのないよう慎重に制度設計を進めるべきである。

    1. 移転価格税制
      多国籍企業は今後、新たに国別報告、マスターファイルの作成が求められることになるが、各国はこれら文書はあくまでもハイレベルなリスク評価のツールであることを踏まえた執行を行うべきである。万一、海外での課税強化に繋がるような場合には、相互協議による二重課税防止が着実に実行されるようにすべきである。また、国別報告については、機密情報保護の観点から、租税条約の情報交換規定等により各国の税務当局間で共有する方式とすべきである。文書化に係る法改正については、施行まで十分な準備期間を設ける必要がある。無形資産については、定義、帰属について一定の明確化が図られたが、価値の測定については課題が残されている。国内法制化・事務運営要領の整備等に際しては、納税者の意見を十分に踏まえるべきである。
      移転価格税制については、この他、事前確認及び相互協議の一層の迅速化・効率化を行うとともに、国外関連者要件の見直し(実際には支配権が及ばない株式保有比率50%の場合を除外し50%超とする)等を行うべきである。わが国課税庁による国内における移転価格税制の執行については、一層、納税者にとって透明性、納得性を高めるべきである。

    2. ハイブリッド・ミスマッチ取り決め等
      ハイブリッド・ミスマッチ取決めへの対抗策として、他国における課税上の取り扱いを踏まえ自国における課税上の取り扱いを定めるリンキング・ルールの導入が提案されているが、納税者が他国の課税上の取扱いを正確かつタイムリーに把握することは容易ではない。法制化に際しては、すべてのハイブリッド金融商品・事業体を規制対象とするのではなく、濫用的な取決めの防止に焦点を絞るべきであり、関連者の範囲も現実的なものとすべきである。
      なお、政府は現在、この議論の一環として、損金算入配当につき配当免税を否認することを提案しているが、事業者に与える影響を踏まえ、慎重に検討すべきである。仮に法改正が不可避な場合でも、施行まで一定の準備期間を置くとともに、当該支払に係る二重課税排除措置を講じるべきである。
      外国子会社からの配当については、国内への資金還流促進の観点から、益金不算入割合を引き上げるべきである。

  2. 租税条約
    日本再興の鍵は、グローバル経済の中で成長を勝ち取ることである。このため、TPPを始めとする経済連携協定の推進により貿易・投資を活性化して海外需要を取り込むとともに、円滑な海外事業活動を担保する租税条約ネットワークを拡充することが極めて重要である。租税条約の拡充により国際的な二重課税の排除を行うことは、わが国企業の海外における安心かつ確実な事業展開の大前提であり、そのための相手国における執行体制の整備・確立への協力も欠かせない。また、投資所得に係る源泉地国課税を軽減することは、海外からの資金還流および国内における再投資という好循環の実現に資する。
    中国、インド、タイ、インドネシア、ベトナム、ブラジル、ドイツ、ロシア、シンガポール、韓国、マレーシア等との租税条約を改定するとともに、台湾、ミャンマー、チリ、アルゼンチン、ベネズエラ、コロンビア、ナイジェリア、モンゴル等の未締結国・地域との租税条約締結交渉を推進すべきである。
    その際、移転価格税制に係る対応的調整規定・仲裁規定、親子間配当および貸付金利息に係る源泉徴収の免除規定、使用料に係る源泉徴収の減免規定等を盛り込むことが重要である。
    なお、現在、BEPSプロジェクトにおいて、条約関連の紛争解決メカニズムの効率化が検討されており、歓迎する。実効性のある対策が打ち出されることを強く期待する。
    条約の濫用防止は当然だが、新たな租税回避防止策が通常の事業活動を阻害しないよう、また、事務負担が過大とならないよう、十分な配慮が必要である。

  3. タックスヘイブン対策税制

    1. トリガー税率の引き下げ
      タックスヘイブン対策税制(CFC税制)については平成22年度税制改正でトリガー税率の引き下げ(25%→20%)が行われたが、その後も世界各国で法人実効税率の引き下げが行われており、主要国がトリガー税率に抵触する状況が再び生じている。とりわけ、英国の法人税率が来年4月より20%へと引き下げられる予定であることから、多くの現地子会社を有する日本企業への影響が大きい。
      現在、CFC税制についてはBEPSプロジェクトでも議論されており、無論、その動向には十分、留意する必要があるが、わが国企業の競争力強化の視点も極めて重要であり、必要な法改正は果敢に実施すべきである。日本企業の海外における正常な事業展開に影響を及ぼさないよう、また、租税負担割合の判定等に係る事務負担を軽減する観点から、現行のトリガー税率を少なくとも18%まで引き下げるべきである。

    2. 適用除外基準の見直し
      また、以下の事例においては、事業者に租税回避的な意図がないにも係らず、形式的にCFC税制の適用除外基準を満たすことができないため、合算課税のリスクが生じている。

      • ロイズ保険事業
        英国・ロイズにおいて保険事業を行う場合、ロイズ法に規定された組織形態、すなわち事業運営法人(マネージング・エージェント)とリスク引受法人(法人メンバー会社)の分離が義務付けられており、当該法規則に則って設立された法人については、現行の適用除外基準(実体基準、管理支配基準、非関連者基準)を満たせない恐れがある。

      • 航空機リース事業
        特定外国子会社等が航空機の貸付を主たる事業とする場合、所在地国において事務所、従業員を有し、実態ある事業活動の結果収益を獲得していたとしても、事業基準を満たすことができない。一方、米国等、主要国のCFC税制では、航空機リースであっても能動的な事業活動がある場合は適用除外が認められており、本邦企業が競争上不利な状況となっている。

      • 内国法人が被統括会社の場合
        海外の統括会社が外国法人のみならず内国法人に対しても統括業務を提供する事例があるが、現行法令では被統括会社の範囲が外国法人に限定されているため、被統括会社株式の帳簿価額の合計額が規定水準に達しない場合があり、事業基準を満たすことができない。

      これら実態に適合しなくなっている適用除外基準については、わが国企業の国際競争力が減退することのないよう、速やかに必要な見直しを行うべきである。また、資産性所得の合算課税についても、これに対応し、所要の修正を行うべきである。

    3. 海外における組織再編成への対応
      実質税負担率の計算における海外での組織再編等の取扱いについては、昨今、一定の明確化が図られ、評価する。今後は、事業再編を円滑に進める観点から、英国における制度を参考に、一定期間、合算課税を猶予する措置についても検討を行うべきである。

  4. 外国税額控除
    外国税額控除制度における繰越限度超過額及び控除余裕枠の繰越期間は3年と短いため、期間の経過により国際的な二重課税が排除されない可能性が依然として残されている。企業の海外活動の制約とならないよう、繰越期間を延長するなど、適切な措置を講じるべきである。

  5. 帰属主義
    平成26年度税制改正により、国際課税原則が総合主義から帰属主義へと移行することとされた。国内法の大幅な改正であることを踏まえ、適用開始が平成28年度からと周知、準備期間が置かれた点は評価する。
    本改正は外国法人のみならず、内国法人に対しても、外国税額控除限度額における国外所得金額の算定など、大きな影響を及ぼすことから、既に公表されている法令・通達に加えて、今後も個別規定の具体的な適用について、必要に応じさらなる明確化を行うなど、円滑な施行に向けた所要の対応を図るべきである。

  6. 国境を越えた役務の提供に対する消費税
    国境を越えた役務の提供に対する消費税については、平成27年度税制改正にて確実に所要の措置を講じるべく、政府税制調査会にて一定の方向性が出されており、これに沿った具体的な制度設計を進めるべきである。
    BtoC取引については、国外事業者に対して適正な申告納税を確保するための制度構築が必要である。また、BtoB取引については、見かけの価格差が生じないようビジネスの実態に即した通知義務を課す、内外判定基準の見直しによる事業者の追加的な事務負担が生じないようにする等、実務への十分な配慮が必要である。リバースチャージ方式についても、本来、消費税は原則として役務提供する者が納税義務を負うべきものであるところを、国内の課税事業者に申告・納税義務を負わせることになるため、申告対象から除外する規定の適用を大多数の事業者が受けられるような制度設計を行うべきである。

(8) その他、法人課税にかかる項目

  1. 当初申告要件の見直し
    平成23年12月改正により、控除可能な金額が当初申告の際に記載された金額に限定される「控除額の制限」がある措置について、修正申告又は更正の請求により正当額まで控除額を増額させることができることになった。しかし、課税庁による増額更正の場合は控除額を増額することができず、バランスを欠いている。増額更正の場合も控除額の増額を認めるべきである。

  2. 特定同族会社の留保金課税の廃止
    企業の経営戦略における自己資本の充実の観点から、特定同族会社の留保金課税は廃止すべきである。

  3. 投資法人等における税会不一致による二重課税の防止
    税務と会計の取扱いの差異により、導管体であるにもかかわらず、投資法人および特定目的会社等において発生してしまう二重課税を回避する措置を導入すべきである。

  4. 原料用途免税の本則非課税化
    石油石炭税・揮発油税の免税・還付措置、石油石炭税の免税措置については、そもそも諸外国ではこれら原料に課税している例はないため、国際的なイコールフッティングの観点から、原料用途免税を本則非課税化すべきである。

  5. 日本貿易保険(NEXI)の特殊会社化に伴う税制上の所要の措置
    貿易保険は、民間の保険では対応できない貿易投資のリスクをカバーし、資源・エネルギーの安定供給の確保や大規模インフラの輸出等に貢献するなど、公共性が高い。安倍政権のインフラ輸出等の取り組みを引き続き後押しすべく、独立行政法人日本貿易保険の特殊会社化に伴い、新たな税負担が生じないよう、所要の措置を講じるべきである。

2.自動車関係諸税の簡素化・負担軽減

自動車関係諸税は、欧米諸国と比べ極めて過重なユーザー負担が課されてきた。特に、道路整備目的で創設された自動車取得税と自動車重量税は、道路特定財源が平成21年度に一般財源化された時点で既に課税根拠を喪失しており、さらに自動車取得税は消費税と、自動車重量税は自動車税との二重課税となっている。

こうした中、平成26年度の税制改正も踏まえ、消費税率10%への引き上げの影響も念頭に、次の見直しを進めるべきである。

自動車関係諸税については簡素化、自動車ユーザーの負担軽減、グリーン化の観点から見直すべきである。具体的には、消費税率10%時点において自動車取得税を確実に廃止するとともに、併せて導入される自動車税環境性能課税については、廃止される自動車取得税の付け替えとならないよう、最低限の負担となる制度設計とすべきである。自動車重量税については、将来的な廃止を含め軽減の方向で見直しを行うべきであり、少なくとも本則税率に上乗せされた「当分の間税率」は、廃止すべきである。また、エコカー減税(自動車取得税、自動車重量税)の拡充・延長、自動車税グリーン化特例の拡充等を検討すべきである。平成28年度から適用される軽自動車に対する重課と併せて検討される軽課措置については、重課と見合う減税規模とすべきであり、二輪車の軽自動車税は、増税対象を平成27年度以降に新規取得する新車のみとすべきである。

3.エネルギー関係諸税

(1) 地球温暖化対策税の抜本的な見直し

現在わが国では、原子力発電所の稼働停止を受けた化石燃料輸入の増加、円高修正、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の開始などを受け、エネルギー価格が上昇傾向にあり、今後ますます上昇することが懸念されている。平成24年10月から導入されている地球温暖化対策のための税は、これに拍車をかけており、回復基調にある我が国経済の足かせとなるおそれがある。

また、東日本大震災後の状況変化により、当初の見積もりを超える税収がある一方、徴収されたまま一般会計に留保され温暖化対策に活用されていない税収や、エネルギー特別会計に繰り入れられても使用されず、翌年に繰り越されている税収もある。

そもそも地球温暖化の防止を経済成長と両立させつつ実現するための鍵は技術である。しかし、地球温暖化対策のための税は、逆に技術開発の原資を奪うばかりか、エネルギー効率が相対的に低い他国へ生産を移転させ、地球全体では却って温暖化を助長し、国内産業の空洞化につながる懸念がある。

地球温暖化対策のための税は、課税の廃止を含め、抜本的に見直すべきである。ましてや、地球温暖化対策税収の使途拡大(森林吸収源対策への充当や地方の地球温暖化対策に充当するための税源移譲等)や森林吸収源対策等のための新税の創設等を行うべきではない。

(2) 石油関係諸税の負担軽減

消費税と石油関係諸税(揮発油税、地方揮発油税)の関係は Tax on Tax となっており、早期に解消する必要がある。そもそも石油関係諸税は、自動車関係諸税と同様、平成21年度に一般財源化された時点で課税根拠を喪失しており、負担の軽減が不可欠である。少なくとも「当分の間税率」を廃止すべきである。

また、軽油引取税に係る課税免税措置を延長すべきである。

4.住宅税制

住宅価格は高額であり、その分、消費税負担が重くなる。また、駆け込み需要や反動減により、価格や需給が不安定になれば、消費者が安心して住宅を買うことは難しくなる。あわせて、住宅投資は、経済や他産業への高い波及効果、雇用の創出効果等を有している。一方で、消費税率8%への引上げに伴い、戸建て注文住宅の受注は昨年10月以降、2ケタの大幅な落ち込みが継続している。これらを踏まえ、消費税率の10%への引上げに際しては、住宅の取得に係る負担を増加させないよう、実効性ある措置が必要であり、税制に関しては、少なくとも、以下の措置を講ずるべきである。

(1) 住宅取得等資金の贈与に係る特例の延長・拡充

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の特例について、非課税限度額を拡充した上で延長するとともに、相続時精算課税の特例について、適用期限を延長すべきである。

(2) 固定資産税の住宅用地特例の維持

住宅用地にかかる固定資産税について、住宅用地特例割合を維持すべきである。

(3) 住宅に係る特例措置の延長・拡充

  • 住宅および土地の取得に対する不動産取得税の税率の特例
  • 宅地評価土地の取得に対して課する不動産取得税の課税標準の特例
  • 建物・土地に関する登録免許税の特例
  • サービスつき高齢者向け賃貸住宅に関わる税制の特例

5.土地・都市税制

(1) 特定事業用資産の買い換え特例の延長・拡充

本特例は、企業の事業再編等に係るコストを低減させ、設備投資の促進や経済活力の向上に寄与しており、また、広範な業種に活用され、地域の企業立地・産業立地の転換、地域経済の振興にも貢献していることから、適用期限を延長・拡充すべきである。

(2) 土地に係る固定資産税の負担軽減

固定資産税の過大な負担は企業の事業コストを増大させ、収益力向上の足かせとなっている。バブル崩壊以降、地価は下落しているにも拘らず、固定資産税の実質的な負担は上がり続けており、重税感が相当高まっている。平成27年度の評価替えの際に、商業地等への過重な負担を解消するなど土地に係る固定資産税の負担を軽減すべきである。

具体的には、負担水準が70%超となる土地について、課税標準の上限を評価額の70%とし、負担水準が60%以上-70%以下となる土地について、課税標準を前年度課税標準額に据え置く負担調整措置を維持するとともに、現行の条例減額制度を延長すべきである。

(3) 都市再生促進税制の延長をはじめとする各種特例措置の延長・拡充等

わが国が持続的な成長を遂げるには、民間のノウハウや資金を活用し、土地や建物の有効利用、流動化を図りつつ、都市・地域を活性化させることが不可欠である。かかる観点から、都市再生促進税制を延長するとともに、以下に掲げる各種特例措置の延長・拡充等を行うべきである。

  • 土地の売買等に係る登録免許税の特例
  • 土地、住宅に係る不動産取得税の特例
  • 市街地再開発事業に係る特例
  • PFI等民間活力の活用促進に資する税制
  • Jリート等が取得する不動産に係る特例

(4) 地価税、土地譲渡益重課制度、特別土地保有税の廃止

土地バブルの抑制という政策目的が失われていることから、課税が停止されている地価税および法人の土地譲渡益重課制度、特別土地保有税(徴収猶予中の税を含む)を速やかに廃止すべきである。本制度の廃止は、事業者の予見可能性を向上させ、不動産取引の活性化につながる。

6.印紙税の見直し

平成25年度税制改正において、不動産譲渡契約書、建設工事請負契約書に係る印紙税の軽減措置の延長・拡充、受取書に係る免税点の引き上げが行われたが、そもそも、近年、インターネット電子商取引が一般化し、経済取引のペーパーレス化が著しく進展する中、紙を媒体とした文書のみに課税する印紙税は合理性が失われている。本来的には廃止すべきであり、少なくとも一層の負担軽減を図るべきである。

7.金融・証券税制

金融所得課税については、高齢化社会における金融資産の効率的な運用、金融資本市場の活性化、企業の円滑な資金調達等の観点から、実務面の課題に十分配慮しつつ、今後も、さらなる一元化を推進すべきである。あわせて、番号制度、とりわけ個人預金口座へのマイナンバーの付番に関しては、その制度設計に際して、国民がそのメリットを実感できるものとするとともに、金融機関の実務負担に十分配慮すべきである。

NISA(少額投資非課税制度)については、家計の金融資産の有効活用及び国民の自助努力による資産形成を促すため、さらに拡充すべきである。具体的には、NISAを通じ、若年層への投資の普及及び世代間の資産移転等を促す観点から、未成年者にも利用可能なNISA制度(ジュニアNISA)を創設すべきである。また、NISAの非課税投資枠、非課税期間および投資可能期間の拡充などを行うべきである。

個人投資家が受け取る配当については、本年1月から上場株式等に係る配当・譲渡益の税率が引き上げられたことも踏まえつつ、法人・個人間における二重課税の調整を一層図る必要がある。

8.年金・保険税制

(1) 企業年金税制

公的年金の給付水準は、マクロ経済スライドの発動に伴い低下するなかで、老後の所得確保を図る観点から、企業年金の普及・拡大がますます重要となる。

確定拠出年金(DC)については、確定給付企業年金には無い税制上の制約が導入・拡充の妨げになっており、拠出限度額の大幅な引き上げ、中途引き出し要件の見直しなどを図るべきである。

さらに、退職年金等の積立金に係る特別法人税は、平成26年度税制改正において課税凍結措置が延長されたが、上記企業年金の拡充の方向性と逆行するものであり、国際的にも稀な税であることから、速やかに廃止すべきである。

(2) 生命保険料控除の拡充

社会保障における国民の自助の取り組みを支援する観点から、生命保険料控除制度を拡充すべきである。

以上