Policy(提言・報告書) 総合政策  新内閣に望む

2015年10月13日
一般社団法人 日本経済団体連合会

2012年12月の安倍政権発足以降、アベノミクスの推進により、わが国経済は活力を取り戻しつつある。しかし、中国を含めた新興国経済の減速懸念など、先行きにはリスク要因も存在する。まさに今こそが、デフレ脱却と経済再生を確実に実現するための正念場といえる。また、わが国財政に対する信認を高めることも求められている。このような時には、政・官・民が連携し、あらゆる政策や手立てを総動員しなければならない。

アベノミクスは第2ステージを迎えた。新内閣発足に際し、安倍政権は、TPP協定の大筋合意という極めて大きな実績をあげた。経済界は「新三本の矢」に大いに期待をしている。新内閣には、安倍総理のリーダーシップのもとその具体策を立て、速やかに実行に移していただきたい。とりわけ、経済の好循環の実現を最優先課題と位置づけ、別紙に掲げる重要政策課題を強力に推進していただきたい。

経済界としても、新内閣の政策遂行に鋭意協力するとともに、企業こそが経済成長を担う主役であるとの自覚のもと、デフレマインドを脱却し、積極果敢な経営を進め、設備投資や研究開発投資を活発化し、収益基盤のさらなる強化・拡大、新たな成長機会の創出に取組んでいく。

以上

(別紙)
  1. 1.震災復興の加速と新しい東北の実現
    東北におけるイノベーションクラスターの形成と魅力的な投資環境の整備
    被災者の生活再建とサステナブルなまちづくり

  2. 2.2020年度のPB黒字化達成に向けた「経済・財政再生計画」の着実な遂行
    2018年度PB赤字対GDP比▲1%の実現
    2017年4月の消費税引上げの確実な実行
    給付の適正化と保険料負担の抑制による社会保障制度改革

  3. 3.景気動向等を踏まえた総合的な経済対策の策定・実行
    法人実効税率の20%台への早期引下げ
    企業活力向上に向けた大胆な規制・制度改革
    中長期的な消費を喚起する施策

  4. 4.エネルギーの安定供給と経済性の確保
    安全性が確認された原子力発電所の再稼働プロセスの加速
    再生可能エネルギーの固定価格買取制度の見直し
    経済と両立しすべての主要排出国が参加する公平で実効性のある気候変動対策の国際枠組み構築

  5. 5.科学技術イノベーション政策の推進
    IoTや人工知能・ロボットをはじめとする新たな基幹産業の創出
    ベンチャーの育成・支援
    サイバーセキュリティ対策の強化
    マイナンバー制度の円滑な導入・民間利活用の推進

  6. 6.地方創生の推進
    地域の中核企業の競争力強化、観光・農業の振興
    防災・減災対策、国土強靭化政策の推進

  7. 7.TPP協定の速やかな発効と2020年のFTAAP構築
    RCEP、日中韓FTAの早期合意
    日EU EPAの早期合意
    アジアをはじめとする諸外国との一層の関係強化

  8. 8.希望出生率1.8を実現するための抜本的対応
    税財源による子育て支援の拡充
    外国人材の受入れ促進

  9. 9.女性の活躍推進・人材育成
    働き方に中立的な税制・社会保障制度の実現
    多様で柔軟な働き方の基盤確立
    グローバル人材やイノベーション人材育成のための教育改革の推進

  10. 10.東京オリンピック・パラリンピック等の成功
    大会開催を契機とした成長力の強化
    大会開催後を見据えたレガシーの形成

以上