Policy(提言・報告書) 総合政策  当面の課題に関する考え方 (2018年10月)

2018年10月9日
一般社団法人 日本経済団体連合会

1.日本経済の現状と見通し

景気は緩やかに回復している。企業の生産活動の緩やかな持ち直し、好調な企業業績と設備投資の増加、雇用・所得環境の改善に伴う個人消費の持ち直しの動きなどを背景に、先行きも同様の回復傾向が続く見通しである。ただし、通商問題に起因する海外経済の先行き不透明感と輸出の動向、新興国経済の動向と国際金融資本市場への影響、国内において相次いでいる自然災害の影響には留意が必要である。

2.Society 5.0の実現

IoT、AI、ロボット等の革新技術や多様かつ大量のデータの活用によって、政府、産業、社会のデジタル化を進め、経済成長と社会的課題の解決を両立するSociety 5.0を実現する。これまで公表してきた関連提言の成果を基に、わが国が目指すべき未来社会像をいま一度明確に描いた上、その実現に向けたサイバーセキュリティの確保、国内外のデータ活用環境の整備、オープンイノベーションの推進等の取り組みを一層深めるとともに、さまざまな産業・分野における社会実装のロードマップも示す。併せて、国連の掲げるSDGs(持続可能な開発目標)が達成された社会の姿としてのSociety 5.0を、国内外に発信していく。

3.働き方改革とダイバーシティの推進

働き方改革関連法への企業の対応を支援するため、政府に様々な働きかけを行うとともに、裁量労働制の対象拡大のための法案の再提出を求めていく。さらに政府における女性活躍推進法の見直しおよびハラスメント防止対策の検討に対応する。加えて、高齢者雇用や新卒採用など将来的な労働市場のあり方について、経済界の考え方を発信していく。また、女性の活躍を通じた消費の拡大、市場の創出(ウーマノミクス)を推進するとともに、LGBTの人々への配慮や、若者、高齢者、外国人、障がい者など多様な人材の活躍促進(ダイバーシティ)に取り組む。

4.米国、欧州、ロシアとの経済関係

米国との経済関係を強化すべく、物品貿易協定交渉を含む日米間の協議の進展も睨みながら、様々なレベルで米国とのコミュニケーションを密にしていく。アジア太平洋地域における貿易投資に関するルールづくりを推進するため、TPP11の早期発効と参加国の拡大を求めていく。署名済みの日EU EPAの早期批准・発効を働きかける。英国のEU離脱が無秩序なものとならないよう、離脱後も現状を維持する移行期間の確実な実現と、EUとの緊密な関係を維持する枠組みの移行期間終了直後の発効に向けて双方に柔軟な対応を求めていく。ロシアとの8項目の「協力プラン」の実現に積極的に協力するとともに、ロシアにおけるビジネス環境の改善を引続き働きかけていく。

5.アジア諸国との経済関係

世界経済のけん引役として期待される、中国、韓国、インド、ASEANをはじめとするアジア諸国との緊密で互恵的な関係を更に強化・発展させていくことは、わが国の成長戦略としても極めて重要である。経団連としても、地域経済統合の推進、インフラ整備の促進をはじめ、各国の官民リーダーとの政策対話を通じて、協力関係の促進に取り組んでいく。

6.国家的イベントの成功

間近に迫った東京オリンピック・パラリンピック等の成功、2025年の万国博覧会の大阪・関西誘致を、日本経済活性化の起爆剤とすべく、政府や関係組織と一体になって取り組む。

7.中長期のエネルギー・温暖化戦略策定

パリ協定に基づく長期戦略の策定において、環境と成長の好循環を目指す観点から、複線的なシナリオの下でイノベーションを追求し、温室効果ガスのグローバルな削減につなげることを求める。そのためにも、エネルギー政策に関し、わが国固有の事情を踏まえS+3Eを同時達成すべく、強靭なエネルギー供給に向けた投資環境整備や、国際的に遜色ない価格での安定したエネルギー供給の実現を求めていく。

以上