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Policy(提言・報告書) 経済政策、財政・金融、社会保障 真の全世代型社会保障に向けた制度改革の実現を

2020年10月30日
一般社団法人 日本経済団体連合会

2022年には団塊の世代が後期高齢者入りし、社会保障給付が急増する一方で、支え手である現役世代の人口は急減していく。こうした中、社会保障制度の持続可能性を確保するためには、高齢者に偏りがちな社会保障給付を見直し、現役世代の負担の増加の抑制や子ども・子育て分野の充実を図るなど、世代間の給付と負担のアンバランスを是正し、公平に支えあう真の意味での全世代型社会保障の構築が不可欠である。

上記観点に立ち、現在、政府の全世代型社会保障検討会議を中心に進められている検討のうち、世代間・世代内の給付と負担に関する議論に対し、とりわけ、下記の改革実現を強く求める。

1.後期高齢者医療の窓口負担について

今後、後期高齢者を中心に医療費が増加する中にあっては、医療・介護費用の伸びの抑制に向けた各種の適正化・効率化策(医療費適正化計画の実効性の強化、地域医療構想の実現等を通じた提供体制の効率化など)を講じていくとともに、一定の負担能力のある後期高齢者層にも応分の負担を分かち合っていただくことが避けられない。

このため、全世代型社会保障検討会議の「中間報告」において、「一定所得以上」とされている2割への後期高齢者窓口負担引き上げの対象者については、原則2割を基本とし、高額療養費制度の自己負担限度額の適用区分#1のうち、限度額が低くなる「低所得者」となる区分の該当者を除いた「一般区分」に該当する方を対象とすべきである(現役並み所得者については引き続き3割)。

2.新たな少子化対策の財源

少子化は国民共通の困難の課題であり、保育の受け皿確保などに必要となる財源については、社会全体で公平に支えることを基本とすべきである。

また、子ども・子育て分野においても、ワイズ・スペンディングや真に必要な支援に集中する観点から、児童手当の受給にかかる世帯合算の導入や高額所得者に対する特例給付の廃止などの制度適正化が不可欠である。

前述の改革を通じて、国民の公平な負担の下で、持続可能な全世代型社会保障を実現する必要がある。

以上

  1. 後期高齢者医療制度における分布は、「低所得者」40.4%、「一般」52.7%、「現役並み所得」6.9%
    (出所:厚生労働省「後期高齢者医療事業状況報告」2018年度実績)

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