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Policy(提言・報告書) 総合政策 当面の課題に関する考え方 (2021年1月)

2021年1月12
一般社団法人 日本経済団体連合会

1.日本経済の現状と見通し

日本経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、国内外での経済活動が大幅に縮小した影響で、厳しい状況にあるが、緊急事態宣言が解除された昨年5月を底に、持ち直していた。しかし、足もとで感染症が国内外で再拡大し、内外で再び緊急事態宣言やロックダウンの動きがある。

先行きは、国内外の感染症の動向に大きく左右される。日本で再発令された緊急事態宣言は前回と異なり、限定的かつ集中的に行われるが、影響を強く受ける業種の事業継続や雇用情勢の悪化が懸念される。仮に宣言の対象地域の拡大、あるいは期間の長期化となれば、景気がさらに下振れするリスクもある。

まずは、官民一体となって、感染防止対策を徹底しつつ、経済への影響を最小限に抑えることが最優先課題である。政府においては、企業の事業継続や雇用維持、医療提供体制の確保、ワクチン接種の早期開始など、必要な施策を速やかに執行するとともに、経済対策の裏付けとなる予算の早期成立が求められる。

2.新型コロナウイルス対策

新型コロナウイルス感染症拡大は、未だ世界的に収束の兆しが見えず、人々の生活や経済社会に甚大な影響を及ぼしている。

経団連は、感染拡大防止に向け、率先して行動していく。そのうえで、ウィズコロナ時代における経済社会活動の活性化を目指し、PCR検査能力の拡大や出入国制限の緩和に向けた方策などを探り、政府・与党に対して働きかけていく。

3.アフターコロナの成長戦略

新型コロナウイルス感染症は、それ以前から進行していた格差問題や地球環境問題等に象徴されるような、株主至上主義の限界を顕在化させた。アフターコロナの時代には、あらゆるステークホルダーの包摂と協創によるサステイナブルな資本主義を確立する必要がある。経団連としては、「。新成長戦略」に示したDXによる新たな成長、働き方の変革、地方創生、国際経済秩序の再構築、グリーン成長の実現を5つの柱とする2030年の未来社会像の実現に向けて、今すぐ実行可能なアクションから果敢に実行に移していく。

4.デジタル革新の加速によるSociety 5.0の実現

新型コロナウイルス感染症対策において、デジタル革新が極めて有効であることが世界各国で実証されている。医療、教育、行政、金融、産業等の各分野において徹底した規制改革とデジタル化・データの共有等を進め、強靭な経済社会を構築する。中長期的には、デジタル革新により様々な社会課題を解決し、より人間的で幸福な社会、すなわちSociety 5.0を実現する。このため、デジタル革新により新型コロナウイルス感染症を乗り越え、その先に築くべき新たな社会、Society 5.0の具体像とその実現に向けた取り組みを、経団連を挙げて検討し、実行していく。政府が新たに設置するデジタル庁において、こうした施策が検討されるよう、政府に働きかける。

5.エネルギー・環境政策の再構築

経済と環境の好循環を図る中で2050年カーボンニュートラルを目指し、イノベーションの創出と高度でレジリエントなエネルギーシステムの構築に取り組む。グリーン成長を国家戦略の柱とし、「チャレンジ・ゼロ」等を通じてイノベーションを軸とした気候変動対策を官民一体で推進する。エネルギー基本計画の見直し等の政府の議論に対応しつつ、電力投資環境の整備、送配電網の次世代化、再生可能エネルギーの主力電源化、安全性が確認された原子力発電所の再稼働等を図る。

6.働き方改革と人材育成

2月末まで特例措置が延長された雇用調整助成金に加え、新たに創設される産業雇用安定助成金の活用により、引き続き、企業に対して在籍型出向も含めた雇用維持を働きかけるとともに2021年2月末までの特例措置の延長方針が示された雇用調整助成金については、その財源の枯渇化が必至であることから、思い切った一般財源の投入を政府に求める。

また、働き手のエンゲージメント向上に着目し、働き方改革の深化を促す。その一環として、場所と時間にとらわれない働き方を推進すべく、テレワークを巡る人事評価・労務管理上の課題について検討するとともに、裁量労働制の対象拡大等、自律的・主体的な働き方に適した新しい労働時間制度の実現を目指す。

新たなインターンシップのあり方に関する産学の共通理解の確立や、ジョブ型採用に繋がるインターンシップ実施、オンライン教育の課題整理、大学の入学・卒業時期の複線化と企業の採用の多様化・複線化、組織対組織の産学連携の推進など、産学協議会の10のアクションプランを実行し、産学連携でSociety 5.0を支える人材を育成する。

7.春季労使交渉

本格的なコロナ禍の下で行われる2021年春季労使交渉に向けて、事業継続と雇用維持を念頭に置きながら、経労委報告等を通じて、「賃金決定の大原則」に則り、自社の実情に適した対応を呼びかける。あわせて、働き手のエンゲージメント向上の観点から、社員の健康維持や自律的なキャリア形成支援に資する総合的な処遇改善を働きかけていく。

8.主要国との経済関係

新型コロナウイルス感染症拡大防止および国境を越えた人の往来を含む経済活動の再開に関し、各国との連携を推進する。

米国新政権下での更なる日米関係の強化に向けて、様々なレベルでコミュニケーションを緊密に行う。発効した日英EPAならびに暫定発効した英国EU FTAに基づき、引き続きEU諸国ならびに英国との貿易投資の拡大を目指す。ロシアとの8項目の「協力プラン」の実現等に協力するとともに、ロシアにおけるビジネス環境の改善を引続き働きかけていく。

最大の貿易相手国である中国、一段の成長が期待されるインド、多様な可能性を備えるASEAN等との経済関係を堅持し、さらなる発展に努める。関係国と連携し、自由で開かれたインド太平洋の実現を目指す。

9.ルールに基づく国際経済秩序の維持・強化

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う保護主義的な動きを阻止、信頼に基づく国際協調を推進することで、コロナの下での自由で開かれた貿易投資を実現する。その一環として、アジア太平洋地域における貿易投資に関するルールづくりを推進するため、RCEPの早期発効及びインド参加の働きかけ、CPTPPの参加国の拡大や日中韓FTAの早期実現を求めていく。また、多角的自由貿易体制の中核であるWTOの改革を働きかける。さらに、コロナの影響で中断・遅延した海外インフラプロジェクトの再開に政府とも連携して取り組むとともに、質の高いインフラ輸出の拡大に向け、国内・各国の官民リーダーとの政策対話を通じて、協力関係の促進に取り組んでいく。この前提として、政府と連携して経済安全保障の確保に向けた取組みを強化する。

10.国家的イベントの成功

政府や関係組織と一体になって今夏の東京オリンピック・パラリンピックの開催と成功を目指し、日本経済活性化とその後の成長につなげていく。

11.防災・減災、国土強靭化

新型コロナウイルス感染症や近年の大規模自然災害を踏まえ、被災者・感染者救済や地域の復旧はもとより、防災・減災、国土強靭化、事業の維持・継続に万全を期す。国土強靭化基本計画の着実な実行に加え、安心・安全の確保に向けたわが国・社会のレジリエンスの一層の強化を図るため、デジタル技術のさらなる活用やイノベーション推進を含めた必要な対策の早期策定を働きかけるとともに、企業の取り組みを促進する。

以上

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