Policy(提言・報告書) 科学技術、情報通信、知財政策  欧州委員会“Data Governance Act”に対する意見

2021年1月29
一般社団法人 日本経済団体連合会
デジタルエコノミー推進委員会
企画部会データ戦略WG

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国際社会がデジタルテクノロジーとデータの高度な活用により経済成長・社会課題解決を実現するためには、国境を越え安心してデータを活用できるための、グローバルに調和のとれたルール形成が不可欠である。その際、イノベーションを促進すべく、明確かつ一貫性のある制度のもとで、データが自由に流通する仕組みを構築していくという視点をもつことが各国の政策担当者には求められる。

こうした観点から、2020年11月25日に欧州委員会が公表した“Data Governance Act”について、データ利用を拡大しようという趣旨に賛同するとともに、以下のとおり意見を述べる。

P.15 (19)

  • ヘルスケア分野における非個人データの活用に関するルールを検討する際には、新型コロナウイルス感染症拡大のような緊急時において、データをEU域外とも連携し柔軟に活用できるものとすべきである。

Chapter 2
Article 5 Conditions for re-use
P.26 (3)-(5)

  • データを二次利用する際に企業に課される義務については、企業が国によって異なる対応を求められることがないよう、EU加盟国共通のルールを定めるべきである。

P.27 (9)-(10)

  • データ移転先の第三国に求める要件をより明確にするとともに、多様なステークホルダーによる議論を経たうえで、データの移転を過度に妨げないようなルールを定めるべきである。
  • 「日EU・EPA規制協力に関する専門委員会」等の対話の場を活用し、日EU間でデータが流通する体制を早期に整備すべく議論を進めるべきである。
  • 非個人データの第三国への移転に関するルールの策定にあたっては、個人データの第三国への移転に関するルールとは明確に区別したうえで検討を行うべきである。

P.27 (11)

  • “Highly sensitive”の指す範囲について、多様なステークホルダーによる議論を経たうえで明確に示すべきである。
  • “Highly sensitive”なデータの第三国への移転に関するより厳格な条件を定める場合、実質的に移転を禁止する規定とすべきではない。

Chapter 3
Article 9 Providers of data sharing services
P.29-30 (1)

  • “data sharing services”の指す範囲について、B2B、B2Cのデータ共有に関わる多様なステークホルダーの意見を広く参照したうえで、より明確に示すべきである。
以上