会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言  記者会見における榊原会長発言要旨

2018年2月26日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【働き方改革関連法案】

裁量労働制に関する厚生労働省の調査データのミスはあってはならないことであり、残念である。ただ、こうしたミスと法改正の趣旨は基本的には別問題である。今回の働き方改革関連法案には、多様な働き方への対応、長時間労働の是正、働く人の能力の発揮に向けた環境整備などが盛り込まれており、時代に即した改正であると認識している。審議を尽くし、今国会中に改正案を成立させてもらいたい。働き方改革の実現は社会の要請であり、経済界もこれを要望している。働く人にとってプラスになるものであり、働き方改革関連法案の趣旨への理解が深まるよう、審議を尽くしてもらいたい。調査データのミスを是正し、明確にすることは必要だろうが、そのことばかりが議論され、審議そのものが遅れることはあってはならない。

【春季労使交渉】

春季労使交渉に臨む各社、各業界における経営環境は様々である。ただ、日本経済全体としては好調であり、多くの企業が最高益を更新するなど、増収増益となっている。2018年版経労委報告でも示しているように、ここ数年の実績を上回る賃上げを期待したい。

今回、メガバンク労組がベアの要求を見送るとの報道があるが、銀行を巡る現在の経営環境を踏まえた判断ではないか。経団連としては各社・各業界の判断を尊重している。もしメガバンク労組がベアの要求を見送るとしても、賃上げに向けたムードに水を差すということにはならないと思う。

【企業の品質管理に係る問題】

経団連は昨年12月4日、全会員企業・団体に対して品質管理に関する不適切事案の総点検、法令・契約遵守の徹底、実効ある不正防止策の実施に取り組むとともに、不適切な対応があった場合は経団連にも報告してほしいと文書で要請した。

これを踏まえ、2月22日、宇部興産から経団連に対して報告があり、翌23日に同社が記者発表を行ったと認識している。こうした事案への対応に関しては、当事者である各社ごとに事情が異なると理解している。宇部興産の場合、不正の確認から公表まで2カ月を要したが、これは顧客への説明、契約上の守秘義務や機密事項など様々な事情を考慮したうえで、経団連への報告と公表がなされたと理解している。各社ごとに経営判断があり、経団連としてはこれを尊重したい。

【平昌冬季オリンピック】

国民の一人として、日本選手団の活躍・健闘を称えたいし、誇りに思う。選手団に拍手を送りたい。

今回の平昌オリンピックでは、北朝鮮問題への対応といった政治的な色彩も見られたが、日本政府が主張しているように、北朝鮮の非核化に向けて国際的な圧力を強めていくことが必要である。非核化に向けて、国連をはじめ関係者と当事国がさらなる連携を進めていくことが望ましく、そうした方向で解決することを期待している。

以上