会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言  定例記者会見における中西会長発言要旨

2019年4月8日
一般社団法人 日本経済団体連合会

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【社会保障制度】

社会保障制度の持続性確保は、従来からの次世代に向けた課題である。経団連は、Society 5.0時代のデジタルトランスフォーメーションにしっかりと対応し、健康寿命の延伸や予防医療の拡充に注力するなど、社会保障のサステナビリティを確保するための政策を求めていく。具体的な提案を明示すべく、現在、提言「2040年を見据えた社会保障の安心確保に向けて」の取りまとめを進めている。政府は未来投資会議や経済財政諮問会議において社会保障制度の方向性について議論中であり、提言を公表するには良いタイミングと認識している。

【米中協議の行方】

米中摩擦の行方を客観的に見通すのは困難になりつつある。当初の争点は、対中貿易不均衡の是正であり、そのことから中国とのサプライチェーンの再構築につながるかも知れないという議論だったが、現在は米中間の技術覇権の問題になっており、機微技術の管理に関して米国がどう動くかにによって貿易不均衡の問題以上に企業には大きな影響があることから、先行きが読めない。経営者としては、どのような情勢変化にも対処できるよう複数の方策を議論しておくことが課題である。

中国は、自らを自由貿易の旗手であると位置づけ、世界に向けてメッセージを積極的に発信し続けている。先般のB20東京サミットでも、アジア諸国を中心に味方を増やし、日本とも協力したいとの姿勢を示していた。

このような状況下において、日本はどのような戦略を立てるべきか真剣に考える必要がある。経団連としては、政府任せではなく、政府と情報共有しながら、経済活動に大きな支障がないよう戦略構築に動いていく。

【電力政策】

かねてより危機感を強烈に持っていた電力政策について、会長就任以来、精力的に検討を進め、ようやく本日、経済界の意見を集約した提言「日本を支える電力システムを再構築する」を公表するに至った。

世界に冠たる省エネへの取り組みによって、日本の電力市場は縮小するマーケットになっていると見える。競争原理の導入によって市場環境も厳しくなるなかで、事業者に新しい投資に腕まくりして挑戦させるような仕掛けがない。電力インフラの充実が求められた高度成長期と今の電力業界が置かれた状況は全く違う。これからの電力を考えるうえでは、技術的側面だけでなく、経済や法律といった社会的側面も踏まえ、政府、経済界、アカデミアを含め、国民的な議論を行っていく必要がある。そのなかで、投資にお金が回り、技術開発が進み、新たな産業が興って経済成長へとつながる仕組みを組み立てていかなければならない。

今回の提言は、こうした問題提起を行うに留まっていて、解決策まで示せていない。2030年以降のエネルギーミックスについて考えてみても、様々な技術的選択肢はあるが、一つの結論を示すことはできない。解決策は何通りもあり、経済界だけ、政府だけで決められるものではない。これは一昨年から昨年にかけて政府のエネルギー情勢懇談会で議論した際の結論でもある。国民各層とともに解決策を考えていく必要がある。

化石燃料が永遠に使い続けられるものでないことは明らかである。再エネや原子力といった、化石燃料以外のエネルギーの選択肢を確保していくことは、将来の人類にとって重要となる。原子力については、政府、電力会社、設備メーカーなど関係者が一体となって、社会的信頼を醸成していく必要がある。

CO2排出をゼロにするという観点からは、技術的には、CCUSの実用化や水素の活用といった選択肢もある。しかし、ここでも実際に誰が投資するのかが課題となる。

昨年9月、北海道でブラックアウト(大規模停電)が発生した。日本の電力が直面している課題をこのままにしておけば、同様の事態が全国で起こる可能性も排除できない。しかし、あれほどの事象を経験しても、まだ電力に対する危機感が日本全体で共有されていない。広く危機感の共有を図り、解決に向けた議論を行っていきたい。

【コンビニの24時間営業問題】

コンビニがなければ困る人が多いのは事実であるが、他方で、働き手がいないのに営業することは困難である。政府が一声かけたからすぐに問題が解決するというものでもないだろう。

【大阪府知事選・大阪市長選】

大阪府知事、大阪市長は大阪万博開催に向けた経団連のパートナーであり、引き続き連携していきたい。

以上