会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言  四国地域経済懇談会後の共同会見における十倉会長発言要旨

2021年12月8
一般社団法人 日本経済団体連合会

【令和4年度税制改正】

令和4年度税制改正の主眼は、成長と分配の好循環を回すことである。分配では人への投資が重視されており、ここに賃上げ税制も含まれる。政府は、賃上げ税制により賃金引き上げに向けた環境を整備した。好業績の企業、業績を回復した企業が、事業活動の成果を重要なステークホルダーである従業員に還元することは企業の責務である。賃上げ税制があるから賃金を引き上げるとか、なかったら引き上げないということではないが、賃金引き上げの後押しとなる。経団連は来年1月公表の経営労働政策特別委員会報告で各社に自社の実情に適した賃金引き上げを呼びかけていく。

オープンイノベーション促進税制、5G投資促進税制は成長を後押しするものであり、心強い。また、住宅ローン減税は、「分配」にも配慮した、充実した支援策である。

【日本経済】

コロナ禍の中、ワクチン接種および治療薬の進展により、ようやく社会経済活動を回す光が見えてきたことは心強い。政府が段階的に行動制限の緩和を打ち出していることも明るい材料である。一方、引き続き、資源高やサプライチェーンなどの懸念は残るが、これらはすぐに解決できるような問題ではない。製造業を中心に輸出産業は業績がよかった。対面型のサービス業についても、現在はオミクロン株の影響を注視する必要があるものの、いずれ好転するだろう。日本経済は来年、着実に回復に向かうと期待している。

【四国経済の活性化】

四国の経済界の方々から伺った、地方創生に向けた活動、特に四国DXマッチング、四国DX推進戦略などデジタル関連の取り組みが印象に残った。四国においても人口流出は課題であり、ご当地でも関係人口の増大に積極的に取り組まれている。地方創生は、経団連の「。新成長戦略」の5つの重要な柱の1つであり、是非、四国の経済界と一緒に取り組みたい。経団連では、会員企業・団体の地域における協創の取り組みを事例集としてまとめている。ベストプラクティスとして参考に供するとともに、横展開につなげていきたい。

新型コロナ感染症の拡大で、人は命という根源的なことに思いを致すようになった。大阪・関西万博のテーマも「いのち輝く未来社会のデザイン」である。四国遍路はそれと共鳴するものであり、四国の大きな魅力である。

【北京オリンピック・パラリンピック】

東京オリンピック・パラリンピックでは、平和の祭典、人の尊厳、友情、努力の尊さ、といったメッセージを世界に向けて発信できた。北京の大会に、こうした意義を引き継ぐべきである。オリンピック・パラリンピックの外交的意義について、経団連はコメントする立場にない。北京オリンピック・パラリンピックの外交的ボイコットの動きが、ビジネスに直接的に影響することはないだろう。オリンピック・パラリンピックへの直接的な関与については、世界各国のスポンサー企業が個別に判断することである。

以上