会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言  定例記者会見における十倉会長発言要旨

2022年2月21
一般社団法人 日本経済団体連合会

【新型コロナウイルス感染症対策】

水際措置の緩和は、国際的な人の往来の再開に道を開く第一歩と評価している。ただし、日本への入国者5000人/日という上限については、疫学的見地というよりもむしろ、入国管理の技術的観点から決まっているのではないかと受け止めている。そうであれば、デジタル化による入国手続きの簡素化等を通じて、入国者数の上限を拡大してほしい。世界中でオミクロン株が大勢を占める今、厳しい鎖国政策のような状況を継続する意義は薄れている。日本の国益を毀損するようなことになってはいけないので、積極的に国を開いていっていただきたい。

世界の多くの国は今や、新型コロナの感染状況をパンデミックではなくエンデミックと見て、その認識の下、社会ルールや行動様式等を変化させつつある。日本でも、そうした方向を踏まえ、感染を一定に抑えながら、いかに社会経済活動を回していくか、出口戦略を議論する段階に来ている。同時に、第7波に備え、ワクチン、経口治療薬、検査キットを確保することが重要である。

【経済安全保障推進法案】

現在のような地政学的情勢においては、経済と安全保障を切り離して考えることは不可能である。したがって、経済安全保障の確保は不可欠であり、今通常国会に関連法案を提出する政府の方針を支持する。経済安全保障推進法案の策定にあたっては、予見可能性、自由な経済活動、国際ルールとの整合性に配慮した内容となることを期待している。

〔国会での審議が拙速ではないかと問われ〕有識者会議でもしっかりと議論を重ねてきたと聞いている。迅速に議論することが歓迎されるのではないかと思う。

【令和4年度予算案の審議】

長引くコロナ禍の下、必要な経済対策や各種支援を早期に行うことが肝要である。スピーディーに審議が進み、年度内の予算成立が確実になったことを歓迎する。

【ウクライナ情勢】

最大の関心を持って注視している。外交努力を継続し、対話によって平和裏に解決されることを期待したい。

緊迫した状況が続けば、短期的には、エネルギー価格の高騰による国内外の経済への影響が懸念される。足下では需給関係によってエネルギー価格が高く張りついており、さらに地政学的リスクも相まって価格が高騰し、経済に影響を及ぼすだろう。また、ロシアやウクライナで日本企業が手掛けるプロジェクトにも少なからず影響を与えるのではないか。先日ミュンヘンでジョンソン英国首相が言ったように、中長期的には、東アジアにも影響が出てくるのではないか。米国は、「自由で開かれたインド太平洋」の構築に集中したいはずだが、ウクライナ問題への対応との二正面作戦を取らざるを得なくなる。

【オリンピック・パラリンピック】

北京オリンピックが無事終幕を迎えたことは喜ばしい。東京大会に続き、努力し、困難に打ち勝ったアスリートの姿が多くの感動とドラマをもたらした。パラリンピックに引き継がれることを期待する。オリンピック・パラリンピックについては、開催費用、政治利用、ドーピング問題など様々な課題が指摘されるが、課題解決に向けて知恵を絞ることが必要である。

〔冬季オリンピック・パラリンピックを札幌に誘致することについて問われ〕オリンピック・パラリンピックは、多くの感動がもたらされるとともに、世界が一体となる稀有な機会であり、誘致に期待したい。

以上