会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言  関西会員懇談会後の記者会見における十倉会長発言要旨

2022年7月14
一般社団法人 日本経済団体連合会

【新型コロナウイルス】

感染力は強いが毒性は低い、というBA.5の特性を踏まえた、科学的、合理的な議論を期待する。十分な換気や密集した場所でのマスク着用などは当然、引き続き実施すべきであるが、新たな行動制限を行う必要はない。

感染症は一国だけで解決できるものではなく、水際対策も含め、世界の主要国と歩調を合わせた対策を講じていく必要がある。治療薬やワクチンの開発が進んでいる。必要とするすべての人びとが日常的な医療体制の中で、諸対策を頼りにし、自らの判断で安心して治療を受けられる状況にしていかなければならない。感染法上における新型コロナの位置づけを2類相当から5類相当へと見直すべきではないか。政府には、専門家の意見も踏まえて、科学的、合理的な議論で対策を進めていただきたい。

【物価高対策】

現在の日本の物価高は他の主要国と様相が異なり、消費者物価指数(CPI)上昇率が相対的に低いうえ、エネルギーと食料が価格上昇の大半を占めている。政府の財政支出による対応と日銀による金融緩和政策の継続に異論はない。

仮に本格的なインフレになってくれば、当然、政策のあり方についても議論がなされると認識している。

【東京電力の旧経営陣に対する東京地裁判決】

個別の訴訟案件についてコメントは控える。

被災された方々に寄り添って、福島の復興再生に全力で取り組んでいくという政府の方針に変わりはないと承知している。経団連も引き続き、復興支援に注力していく。

〔原子力政策に与える影響を問われ、〕日本が置かれているエネルギー状況を考えると、安全性の確保を大前提に原子力は引き続き活用すべき電源である。短期的には、運営や管理を通じて安全性確保に万全を期す必要があり、中長期的には、より安全性を高めた革新炉の導入も検討すべきである。また、放射性廃棄物処理も避けては通れない議論であり、高速炉の検討も進めなければならない。

【関西経済】

さまざまな社会課題の解決に貢献し、日本経済を牽引していく産業やスタートアップを振興することが不可欠となっており、関西経済連合会が「ファーストペンギン」の心意気で各種政策に取り組んでいることは心強い。2025年の大阪・関西万博は、経済活性化の大きなチャンスである。海外の多くの方々に足を運んでいただき、日本の良さを知ってもらうためには、スムーズな人の往来が重要であり、入国規制緩和に期待している。

7月18日に大阪・関西万博開幕前1000日を迎える。関西のみならず、全国的な機運醸成に経団連は全力で取り組んでいる。メディアも含め各方面のご支援、ご協力にも期待したい。会場建設費については、現時点で目標額達成に手応えを感じており、自信がある。

〔万博の建設費高騰を問われ、〕当初想定より建設費が高騰しているが、知恵と工夫を凝らし、1850億円の中でなんとか収めたい。

【民間経済外交】

〔安倍元総理大臣ご逝去による民間経済外交への影響を問われ、〕安倍元総理は、自由で開かれたインド太平洋、QUAD(日米豪印戦略対話)等のコンセプトを打ち出された。安倍元総理の遺志を引き継ぎ、経済安全保障も含め価値観を共有する同志国(like-minded countries)と連携しながら、自由で開かれた国際経済秩序の構築に向けた取り組みを進めていかなければならない。経団連も引き続き、そのための諸活動を展開していく。

以上