会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言  北陸地方経済懇談会後の共同記者会見における十倉会長発言要旨

2022年11月17
一般社団法人 日本経済団体連合会

【地方活性化】

日本人のウェルビーイング(豊かさ、幸せ)に対する考え方が変わりつつある。加えて、デジタル技術によって場所を問わない働き方が可能となり、都会と地方の両方に住むこと、働くことを希望する人が増えている。経団連は兼業・副業やワーケーションといった多様な働き方を推進している。これらを通じて交流人口を増やし地方活性化に貢献していきたい。各地域も、そこに住みたい、働きたいと思われるよう魅力的な地域づくりを進め、雇用創出に取り組む必要がある。

〔北陸新幹線の全線開業について問われ、〕ゴールデンループが完成すれば年平均2,700億円の全国への経済波及効果(観光需要など)が期待できるとの試算もある。費用対効果の観点から全線開業は望ましい。

【日本経済】

足もとの物価高は、エネルギー価格、食料価格等の高騰によるコストプッシュ型インフレであり、政府の「総合経済対策」の効果を期待したい。

中長期的には、エネルギーや食料の自給率を上昇させ、為替変動に左右されにくいレジリエントな日本経済を構築する必要がある。

【賃金引き上げ】

〔2023年春季労使交渉において、連合が「5%程度」、UAゼンセンが「6%程度」の賃上げ目標で調整していると見られることについて問われ、〕正式な決定はこれからと承知している。ただ、足もとの物価動向を踏まえ、昨年より高い目標を掲げることに驚きはない。

現下の物価上昇はコストプッシュ型であり、一時的な事象ともとらえられるが、経団連はこれを機に、持続的で穏やかな物価と賃金の好循環を実現すべきと考えている。経団連はかねてより、春季労使交渉に臨むにあたり、「賃金決定の大原則」に則った対応を会員企業等に呼びかけている。2023年の交渉では、様々な考慮要素のうち、とりわけ物価の動向を重視した検討を強く呼びかけたい。働き手の約7割を雇用する中小企業にまで賃金引き上げのモメンタムが広がっていくように、パートナーシップ構築宣言を通じた取引価格の適正化などの取り組みを強化していきたい。

【防衛費増の財源】

防衛は日本国民全員に裨益することから、防衛費も国民全体で広く薄く負担すべきである。

【日中首脳会談】

〔約3年ぶりの開催となる日中首脳会談への期待を問われ、〕非常に意義のあるものだ。世界は中国なしでは立ち行かず、中国もまた、世界なしではやっていけない。日中両国の間には価値観や立場の違いはあるものの、日本は主体性をもって、政治や経済など各界各層で交流を継続する必要がある。

【小林日商新会頭】

小林新会頭とは、経団連で副会長を3年間、審議員会副議長を1年間ご一緒した。経済界きっての国際派として自社や日本貿易会等を引っ張ってこられた。日商会頭としても、職責を果たされるであろう。日本の経済社会の発展に向けて協働することを楽しみにしている。

以上