日本経団連タイムス No.2811 (2006年4月27日)

サブサハラ地域委員会を開催

−ムランボ=ヌカ・南アフリカ副大統領が南アフリカ情勢を説明


日本経団連は19日、東京・大手町の経団連会館でサブサハラ地域委員会(坂根正弘委員長)を開催し、来日中の南アフリカ・ムランボ=ヌカ副大統領から南アフリカ情勢につき説明を受け、意見交換を行った。

この中でムランボ=ヌカ副大統領は南アフリカについて、(1)民主化により、経済は順調に成長を続けている(2)インフレも抑制され、為替も安定している(3)最大の課題は貧困や失業の問題であり、これらを解決するために、多くの国民が衣食住の面で基礎的なニーズにアクセスできるよう、経済成長の恩恵を国民全体で平等に享受できる枠組みを構築したいと考えている(4)電力や、港湾、道路、通信などのインフラは既に限界に達していると認識しており、外国投資を促進するためにもインフラ整備に向けた取り組みを開始した――と説明。
また、「急速な経済成長で、技術者や熟練工などいわゆる職人が不足しており、人材の育成が今後の成長にとって重要な鍵となるので日本などの先例を学びたい」と南アフリカが抱える当面の課題に言及した。

副大統領の発言を受け、同行したヘンドリクス鉱業エネルギー大臣は、1994年当時に比べ電力、水道は整備が大幅に進んだものの、持続的な成長に向けてインフラ部門への投資は必要不可欠であると述べ、特に電力については、2011年以降に石炭火力発電所が更新時期を迎えることから、日本企業との協力による原子力発電所(ペブルベッド・モジュール炉)の建設に対する期待を示した。

これに対し日本側から港湾整備に対する要望や日・南ア自由貿易協定(FTA)の可能性、またサブサハラ地域での途上国の開発や貧困問題の解決に関して、南アがコアカントリーとして果たす役割などについて発言が相次いだ。特に日・南アFTAについては、南ア側からもデービス通商産業副大臣が「日本との間で合同貿易委員会を立ち上げ、貿易円滑化に関する問題やビジネス環境の改善に向けた取り組みについて話し合いたい。今年9月に南アフリカで開催予定の第4回日本・南アフリカビジネスフォーラムとの連携を図りたい」と発言した。

最後にムランボ=ヌカ副大統領は「日本からのさらなる投資を期待する。将来にわたって日本とのパートナーシップは重要である。引き続き、このような密な関係を続けたい」と強調した。

【国際協力本部中南米・中東・アフリカ担当】
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