日本経団連の御手洗冨士夫会長は23日、東京・大手町の経団連会館で第6回定時総会後に記者会見を行った。
会長として2年目の抱負を問われた御手洗会長はまず、就任1年目に取りまとめたビジョン「希望の国、日本」に触れ、ビジョンは、10年後の日本のあるべき姿を明確にするとともに、実現に向けた方策と、具体的なアクションプランをまとめ発表したものであると説明し、2年目はこれをいかに実行していくかに尽きると語った。
その上で、少子・高齢化、グローバリゼーションの激化という二大潮流の中で、「持続的経済成長をいかに達成していくか」が重要であると指摘。その原動力となる企業は、常にイノベーションに取り組み、新しい産業を創出し、競争力を強化し、生産性を上げることが求められるとの考えを示した。さらに、世界経済の成長力を取り入れるため、WTO体制を堅持しつつ、とりわけアジアネットワーク経済圏を前提としたEPAネットワーク構築の必要性を強調した。
また、労働力人口が減少する中、労働力人口を増やしていくことは焦眉の急であると述べ、例えば子育て後の女性が社会復帰しやすくする仕組みづくりなど、多様な労働のあり方を実現するための制度を確立することが重要と強調。さらに、就職氷河期に就職できなかった人たちに対しての、就業能力を高めるためのシステムづくりにも力を注いでいきたいとの意向を示した。その上で、能力を高めた人が正社員になりやすいよう、年功から能力によって評価される人事制度の仕組みが必要と指摘した。
京都議定書以降の枠組みについては、「CO2排出量を地球規模で減少させるべく、長期的枠組みをつくることが重要」と述べ、そのためには、米国、中国、インドなど主要国の参加を確保、環境と経済の両立を実現できる枠組みの構築が不可欠であるとの考えを示した。
最後に御手洗会長は、2年目も課題は山積しているとして、日本経団連の各委員会活動を通じ政府へ働きかけていくなど、政策実現に向け、取り組みを一層強化していきたいとの意欲を示した。
会見には御手洗会長のほか、新たに選任された7名を含む14名の副会長も同席、各副会長が担当する委員会の抱える課題と今後の取り組みについて語った。