日本経団連タイムス No.2963 (2009年8月13日)

新型インフルエンザ対策に関する調査結果発表

−企業の約8割が対策に着手


日本経団連は7月30日、「新型インフルエンザ対策に関する企業アンケート結果」を発表した。同調査は、今般の新型インフルエンザ(A/H1N1)発生を踏まえ、感染予防、感染拡大防止と社会機能維持に向け、さらに実効性のある対策を推進するために、各企業の新型インフルエンザ対策の現状や対策を進める上での課題等について取りまとめたものである。日本経団連および東京経営者協会の会員企業、計2025社を対象に実施、有効回答社数は454社(回収率22.4%)であった。なお、同調査では、鳥由来の新型インフルエンザ(H5N1)と豚由来の新型インフルエンザ(H1N1)対策についてあわせて質問している。
調査結果の主なポイントは、以下のとおり。

■ 現在実施中の新型インフルエンザ対策

現在実施中の新型インフルエンザ対策の上位は、「マスクや手袋など衛生用品、食料の備蓄」(83.3%)、「新型インフルエンザ関連の情報収集・連絡体制の整備」(81.9%)、「職場における感染予防・感染拡大防止策の策定」(79.3%)となり、企業の約8割は既に何らかの対策に着手していることが明らかとなった。新型インフルエンザの感染予防・感染拡大防止策の必要性に対する企業の認識は高いといえる。

■ 事業継続計画等の整備状況と今後1年間で重点的に取り組む予定の対策

6月時点で60.1%の企業が感染防止や拡大防止に向けた社内マニュアルを整備しており、9月までには7割以上の企業で整備される予定となっている。
また、新型インフルエンザ流行時の事業継続計画は、6月時点で32.1%の企業が策定しているが、策定企業は9月末まででも約5割と、整備が進んでいない。
このため、今後1年以内に重点的に取り組む対策として、「継続業務の絞込み・業務継続体制の整備」(46.0%)、「発生時対応訓練の実施」(27.3%)を挙げる企業が多かった。感染防止策を整備する段階から、発生時における事業継続計画等の策定・整備にも着手する企業が増えていることがわかった。
事業継続計画の整備状況を業種別にみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」(66.7%)、「金融・保険業」(62.1%)、「運輸・通信業」(37.8%)とライフライン関連の業種で取り組みが進んでいる。特に、「電気・ガス・熱供給・水道業」「金融・保険業」では、回答企業のすべてが年度内には計画を整備する予定であり、必要性に対する認識の高さがみられた。

■ 今後の対策をより良いものとする(あるいは対策に着手する)上で重要な事項

各社の新型インフルエンザ対策をより良いものとする上で重要と考える事項について質問したところ、「政府・自治体の新型インフルエンザ対策についての情報」(50.7%)、「パンデミックワクチンの早期接種のための環境整備」(44.7%)、「抗インフルエンザ・ウイルス薬の国家備蓄の促進」(38.3%)を求める企業が多くみられた。
また、事業継続計画を策定した企業(あるいは策定過程にある企業)においては、より実効性の高いものとすべく、他業界・企業の取り組みや法定点検をはじめとする法令遵守の考え方など、具体的かつ子細な情報への要望が高まっている。一方で、これから着手する企業は、新型インフルエンザ対策への支援や助言を求めており、対策の底上げを図るために、一層の情報提供が必要であることがわかった。

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日本経団連では、こうした結果を踏まえ、企業間の情報交換や情報提供の機会を積極的に設けていく考えである。また、政府・自治体の新型インフルエンザ対策に関する情報提供を求める意見や、ワクチンの早期接種のための環境整備、抗インフルエンザ・ウイルス薬の備蓄といった医療面での要望が多く寄せられたことから、こうした点での政府・自治体の対策の一層の促進を働きかけていく。

【経済政策本部】
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