日本経団連タイムス No.2972 (2009年10月29日)

「日GCC自由貿易協定の締結に関する要望」を発表

−充実したFTAの早期締結を求める


日本経団連は20日、「日GCC自由貿易協定の締結に関する要望」を発表した。提言では、2006年に開始された締結交渉の早期妥結ならびに十分な自由化・円滑化、投資保護の確保などを求めている。今後、政府・与党など関係方面に対し、実現を働きかける。提言の概要は次のとおり。

1.物品貿易の自由化・円滑化

GCC(湾岸協力会議)諸国は域外国に対し、例外品目を除き、一律5%の共通関税を適用しており、その結果、GCC諸国が第三国と自由貿易協定(FTA)を締結した場合、わが国は相対的に不利な状況に置かれる。こうした事態を回避するためにも、日GCC自由貿易協定を早期に締結し、関税を即時または漸次撤廃することが重要である。

このほか、(1)免税措置があっても、審査に時間がかかるうえ、免税が認められるまでの間に関税デポジットを求められる(2)当該国への輸出に際し、国際的な安全基準に加えて独自の規格への対応が求められる――などの非関税障壁を解消すべきである。

2.サービス貿易の自由化

GCC諸国においては、(1)外国人投資家は出資比率の過半をとれない(2)現地人雇用義務があるにも関わらず、現地で適切な人材を確保することが困難である――といった障害が指摘されており、その撤廃、緩和を求めるべきである。

さらに、国内規制も事実上の障壁となる。例えば、(1)拠点設置に際して現地のスポンサーが必要であり、多額のスポンサーフィーが求められる(2)外国人の土地所有が制限される――などの点の改善が求められる。

3.投資の自由化

投資についても、拠点を設置して企業活動を行うという点で、サービス提供と本質的に問題点は同じである。

企業の自由な活動を確保するため、(1)わが国の技術が強みを発揮できる分野を自由化の対象に含める(2)外資制限、現地人雇用義務などを撤廃・緩和する(3)外国人投資家の活動を妨げる国内規制を撤廃する――ことが不可欠である。

4.人の移動の円滑化

サービス貿易、投資の自由化を推進するうえでは、人の移動についても円滑化し、外国人材による自由な活動を担保することが重要である。

現状では、現地人雇用義務との関連で、外国人に対する就労ビザ・滞在許可証の発給が制限される事例があり、自由化を求めるべきである。また、就労ビザ・滞在許可証などの取得に際し、現地のスポンサーが必要とされるなどの国内規制上の問題点についても改善すべきである。

5.投資に関する法的基盤の整備

GCC諸国との貿易投資関係を促進するうえでは、現地に進出した外国企業の活動が適切に保護されることが重要である。自由貿易協定と並行して、各国との投資保護協定についても交渉を加速することが求められる。また、進出企業に対する二重課税の防止や、税制上のインセンティブの確保のため、各国との租税条約締結を推進すべきである。

【国際協力本部】
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