経団連は9月18日、オンライン会合を開催し、ジェトロ・ボゴタ事務所の豊田哲也所長からコロンビアの現地情勢等について説明を聴くとともに意見交換を行った。概要は次のとおり。
■ 新型コロナウイルス感染状況と対策
コロンビアは、3月から5カ月以上にわたり、強制自宅待機措置を8度延長し、感染拡大防止にあたってきた。その結果、感染は8月末にピークを打ち、最近は低下傾向が定着している。9月15日時点の感染者数はブラジル、ペルーに次ぐ南米3位であるが、100万人当たりの死亡者数は比較的少ない。政府は同措置を8月末で終了し、9月以降、国による行動規制を最小化しつつ自治体主導の対策に移行させている。国内線のフライトが段階的に再開されるなど、経済活動が本格的に動き出しており、ボゴタ市では8月27日以降、業種ごとに活動可能な曜日、時間、在宅勤務の割合を指定する「新常態」が開始された。
■ 経済・産業への影響と政府による経済支援
コロンビアの国家統計庁によると、2020年第2四半期の実質GDP成長率は前年同期比マイナス15.7%。商業、製造業、鉱業の大幅な落ち込みが影響しており、失業率も20%台まで悪化している。
20年のGDP成長率は、活動制限措置の長期化により下方修正が相次ぐものの、21年には大幅な回復になると見込まれている。
ドゥケ大統領は、低所得世帯への現金支給、中小企業や個人事業主向けの融資・保証制度等を実施している。また、輸送、観光、外食などの産業向けの税免除措置を導入。さらには自らの看板政策であるオレンジ経済(文化、クリエーティブ産業)の回復と振興に向けて、関連企業などへの経済支援を行っている。
強制自宅待機措置等の厳しい対策をとったにもかかわらず、ドゥケ大統領の支持率は4月に急回復した。ただし、その後再び不支持が支持を上回っている。
■ 日コロンビア経済関係の推進に向けて
日コロンビアEPAについてドゥケ大統領は、昨年6月に締結に前向きなメッセージを発信しており、政府間交渉が続いている。また、租税条約についてはコロンビア側でも批准に向けた手続きが進みつつある。
コロンビアは、現在直面しているコロナ禍を除けば、過去50年にマイナス成長になったのは一度しかない。デフォルトやハイパーインフレ等に陥ることもなく、安定した経済成長が誇りである。また、最近、アンデス山脈を貫いて首都ボゴタと太平洋岸とのアクセスを大きく改善する「ラ・リネア」トンネルの引き渡しが開始されるなど、インフラ整備も進んでいる。多様な発展の可能性を秘めるコロンビアについて、ぜひ多くの日本企業に注目してほしい。
【国際協力本部】