月刊・経済Trend 2012年1月号 巻頭言

復興・再生から新たな飛躍へ

米倉会長 米倉弘昌
(よねくら ひろまさ)

経団連会長

新年を迎えるにあたりまして、謹んでごあいさつを申しあげます。

わが国は、昨年、東日本大震災という史上まれにみる大災害に見舞われ、現在も早期復興に向けて国をあげた懸命の取り組みが続けられている。その一方で、長引く低成長とデフレ、厳しい雇用情勢、財政赤字といった従来抱える問題への対応も待ったなしの状況にある。さらに、欧州の財政危機や米国の景気低迷、新興国の経済成長の減速によって世界経済の不透明感が強まるなか、歴史的な円高が日本企業の経営を圧迫し、「産業の空洞化」が現実の問題となりつつある。

昨年9月に船出した野田政権は、震災からの復旧・復興と日本経済の立て直しを最優先課題と位置付け、第三次補正予算の実施、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加に向けた協議の開始、社会保障と税・財政の一体改革の推進をはじめ、日本の再生のための取り組みを全力で進めている。経済界としても、引き続き、野田総理の強いリーダーシップに期待するとともに、政府の施策が最大限の成果を生み出すことができるよう、できる限りの協力を行ってまいりたい。

2011年は、大震災という大変悲しい出来事によって、日本人が決して忘れることのできない一年となった。しかし同時に、苦難の時にあっても諦めることなく、互いに支え合い、目の前の困難を一つ一つ克服していく日本人の逞しい力を再認識した年としても、長く私たちの心に残っていくのではないだろうか。不屈の精神と助け合いの気持ちを持った人々の力、そして強力なチームワークという、わが国ならではの強みを最大限に発揮していくことによって、日本は必ずやこの危機を乗り越え、再び力強く発展していくことができると私は確信している。

経団連としても、引き続き「行動する経団連」として、日本が抱える諸課題の解決と民主導の経済成長を後押しするためのアクションを果敢に推し進め、2012年を、復興・再生から新たな飛躍へと大きく踏み出す一年にしてまいりたい。皆様からのより一層のご支援、ご協力をお願い申しあげる。


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